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ガザへの食料投下は国際社会の「援助偽装」...深刻な飢餓を解決する「悲劇的に単純な解決策」とは

Staving Off Starvation

2025年8月5日(火)15時25分
アムラ・リー
深刻な栄養不良であることが一目で分かる1歳半の男児

深刻な栄養不良であることが一目で分かる1歳半の男児(ガザ北部、7月25日) MAJDI FATHIーNUR PHOTOーREUTERS

<国際社会の批判を浴びたイスラエルは、ガザへの支援を一部許可した。しかし、現在の援助では、ガザ住民のニーズを満たす水準に到底及ばない>

パレスチナ自治区ガザで人為的に飢餓を生み出しているとの国際的な批判の高まりを受け、イスラエルがガザ封鎖を一部緩和した。これに伴い、アラブ首長国連邦(UAE)とヨルダンの航空機が7月27日、計約25トンの食料と人道物資を航空機から投下した。

さらにイスラエルは毎日一定時間ガザへの攻撃を停止するとともに、国連が支援物資を輸送するための人道回廊を設置すると発表した。


イスラエルは5月19日以降、1日にトラック70台分の人道物資がガザに搬入されるのを許可してきた。しかし国連はこれでは到底不十分で、ガザ住民のニーズに応えるためには1日500~600台分の物資が必要だとしてきた。

トム・フレッチャー国連事務次長(人道問題担当)は、ガザの人口約200万人が「飢餓のような状態」にあり、今後数日間にどのくらい物資を運び込めるかが決定的に重要になるとの見方を示した。

ガザでは、住民の3分の1がここ数日食べ物を口にしていないほか、女性と子供9万人が急性栄養不良に陥っており、緊急に治療を必要としている。ガザの保健当局によると、飢餓のために命を落とした人は既に147人に上る。その半数以上が子供だ。

ネタニヤフは飢餓を否定

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「ガザで飢餓など起きていない」と主張してきた。しかし「盟友」とされるドナルド・トランプ米大統領を含め、世界各国のリーダーがガザの飢餓に懸念を示している。

「現在ガザで起きているような綿密に調整され、緊密にモニタリングされ、精密に設計された集団飢餓は過去に例がない」と、飢餓問題に詳しい米タフツ大学世界平和財団エグゼクティブディレクターのアレックス・デワールは語る。現在の飢餓状況は、物資の供給が数週間ストップしている証拠だ。

国連はガザ封鎖の緩和を歓迎しているが、現在の飢餓のレベルを考えると、この程度の支援ではさらなる惨事は回避できないだろう。世界食糧計画(WFP)は、ガザの全住民の3カ月分の食料を備蓄しているが、それを住民に届けるためには停戦が必須だとしている。

人道物資を空から投下するのは、人々の尊厳を踏みにじる行為であると同時に、危険を伴い、ほかに方法がない場合の最後の手段と考えられている。実際、物資がテントを直撃して、中にいた人がけがをしたという報告もある。

国連機関とNGOのネットワークであるグローバル・プロテクション・クラスター(GPC)によると、落下してきた物資が家屋の屋根を突き破ったという報告もあった。そこに物資を手に入れようとナイフを持った男たちが押し入ってきたため、住民の女性は子供たちと別の部屋に身を隠し、結局、物資を全く受け取れなかったという。

空からの物資投下は、非効率でもある。トラックなら1台で最大20トンの物資を必要な場所に速やかに届けられる。そのための物資と人員は、検問所から1時間の所に待機している。

UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)のトップは、空からの物資投下は極めて非効率で、飢餓の実態から「目をそらす」ための援助の「偽装」だと述べている。

悲劇的に単純な解決策

急性栄養不良に陥った9万人の女性と子供たちは、特別な栄養補給を必要としており、投下されるタイプの食料は助けにならない。栄養不良の子供たちは栄養状態の検査を受け、栄養を強化したペーストやベビーフードが必要だ。急な栄養補給でリフィーディング症候群(代謝性の合併症)を起こさないよう、専門家の注意深い観察も必要だ。

ガザが集団飢餓の影響を克服するためには数世代が必要だろう。幼児期に栄養不良になると、認知力や身体能力に生涯にわたり影響を受け、それが次の世代にも受け継がれる恐れがある。

人道支援NGOの国際救済委員会(IRC)のキアラン・ドネリーは、いま必要なのは「悲劇的なほど単純なこと」だと語る。それはイスラエルがガザ封鎖を解除して、人道支援物資が大量にガザに入ってくるようにすることだ。

イスラエルは、ガザ住民が尊厳のある方法で物資を受け取れるよう安全な環境を保証する必要もある。現在の飢餓と情勢不安では、とりわけ女性や子供、高齢者、障害者などの弱者が排除されてしまう可能性が高い。

今、ガザには世界の注目が集まっている。しかしガザの住民は1年半以上にわたり、どんどん悪化する非人間的な状況に耐えてきた。今や食料をもらうための列に並んで射殺されることもある。

最近、イスラエルの2つの主要人権団体が、イスラエル政府がガザでやっていることはジェノサイド(特定の集団を壊滅させるための大虐殺)であるとの見解を示した。これは大量の証拠によって裏付けられており、世界の国々には国際法に基づき行動を起こす義務がある。

非難の言葉だけでは、その義務を果たしたことにはならない。各国は外交力を駆使して、ガザの飢餓を食い止めるのに必要な支援を認めるよう、そして、一時的な攻撃停止を恒久的な停戦に発展させるよう、イスラエルに圧力をかけなくてはならない。

The Conversation

Amra Lee, PhD candidate in Protection of Civilians, Australian National University

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.


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