「靴を脱いでください」と言われ続けて100億足...アメリカ空港の「無意味な儀式」がついに撤廃へ
No More No Shoe Rule
入国者の身柄拘束は増加
国土安全保障省は11年の時点で、高性能の靴スキャン装置の開発が進んでおり、将来的に保安検査場で靴を脱ぐ必要はなくなると公言していた。
そして今年1月、同省は運輸保安局(TSA)と共同で靴スキャン装置のデモンストレーションを行い、26年までに空港への配備を行うと発表した。履いたままの靴をものの数秒でスキャンできるという。
だが7月8日、同省のクリスティ・ノーム長官は、最新鋭の靴スキャン装置の導入を待たずして靴脱ぎ検査ルールの撤廃を発表した。理由について長官は「幾重にも積み重ねられた」保安対策のおかげだと述べた。
靴脱ぎ検査の終わりは、1つの時代の終わりでもある。靴脱ぎ検査は01年のTSA創設を含む9.11以降の航空機のセキュリティー強化政策の一環であり、「今後も強化される一方の保安対策」を象徴する存在だった。
TSAが強いている無意味で時間のかかる保安対策は、靴脱ぎ検査以外にもいろいろある。
やや大げさだが、靴脱ぎ検査の終わりの向こうに光が見えた、と言ってもいいだろう。恐怖に支配されているアメリカ政界にも、既存の保安規則(いかにばかばかしいものであれ)を撤廃するという「リスク」を冒す余地が残っていたということだからだ。