最新記事
性暴力

トランプに「タイプじゃない」と言われた女性...124億円を使って「彼を発狂させる」と宣言、その内容は?

Writing the President’s Wrongs

2025年7月24日(木)17時43分
マンディ・タヘリ

まるでボクシングの実況

キャロルの新著『私のタイプじゃない──1人の女性vs1人の大統領』

なおトランプは500万ドルの支払い命令を覆そうと控訴していたが、6月に連邦控訴審が申し立てを棄却。8330万ドルについても控訴中で、自分には大統領免責特権が適用されると主張しているため、決着は連邦最高裁に持ち込まれる可能性が高い。

キャロルは本書で、淡々とした裁判記録と自身の奔放な「意識の流れ」を巧みに織り交ぜ、1996年にニューヨークの高級百貨店バーグドルフ・グッドマンの試着室で起きたトランプによる性的暴行(とその後の名誉毀損)に関する2つの裁判の様子を詳しく、かつコミカルに描いてみせた。


本誌の取材に際しても、自分には全てが「よくできたコメディー」のように思えたと振り返っている。

キャロルは長年にわたりファッション誌「エル」で読者の相談に答えるコラムを手がけ、軽やかなリズムとパンチ力を併せ持つ文章で人気を博してきた。今回の執筆に当たっては、出廷した日の晩に必ず録音しておいたボイスメモが役に立ったと彼女は言う。

本書ではマンハッタンの連邦裁判所を「ニューヨーク屈指のランウェイ」と呼び、登場人物の服装を鋭い観察眼でしばしば分析。トランプの弁護人アリナ・ハバ(現在はニュージャージー州の連邦検事代理)の装いについては「いくらでも話せる」そうだ。

法廷でのやり取りは演劇のごとく描写され、弁護団の繰り出すジャブを証人が巧みにかわしてカウンターを放つ場面はまるでボクシングの実況中継のようだ。

トランプ弁護団で特異な存在感を放っていたのはセレブ弁護士のジョー・タコピナ。キャロルは彼を「輝く瞳」と「よく響く声」、「ポパイのような筋肉」と「モデル級の細いウエスト」の持ち主と評している(なおタコピナは500万ドルの評決後にトランプ弁護団を離脱した)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ政権が控訴、クックFRB理事解任差し止め巡

ワールド

フランス各地で反政府デモ、数千人が参加 政治への不

ワールド

バイデン氏の再選出馬は「リスク大きすぎた」 ハリス

ワールド

EU、対中印関税引き上げの公算小 トランプ氏が要請
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題」』に書かれている実態
  • 3
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 4
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 5
    毎朝10回スクワットで恋も人生も変わる――和田秀樹流…
  • 6
    カップルに背後から突進...巨大動物「まさかの不意打…
  • 7
    富裕層のトランプ離れが加速──関税政策で支持率が最…
  • 8
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 9
    ロシアが遂に「がんワクチン」開発に成功か...60~80…
  • 10
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 4
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 5
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 6
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 7
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 8
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 9
    エコー写真を見て「医師は困惑していた」...中絶を拒…
  • 10
    「稼げる」はずの豪ワーホリで搾取される日本人..給…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中