トランプに「タイプじゃない」と言われた女性...124億円を使って「彼を発狂させる」と宣言、その内容は?
Writing the President’s Wrongs
まるでボクシングの実況

なおトランプは500万ドルの支払い命令を覆そうと控訴していたが、6月に連邦控訴審が申し立てを棄却。8330万ドルについても控訴中で、自分には大統領免責特権が適用されると主張しているため、決着は連邦最高裁に持ち込まれる可能性が高い。
キャロルは本書で、淡々とした裁判記録と自身の奔放な「意識の流れ」を巧みに織り交ぜ、1996年にニューヨークの高級百貨店バーグドルフ・グッドマンの試着室で起きたトランプによる性的暴行(とその後の名誉毀損)に関する2つの裁判の様子を詳しく、かつコミカルに描いてみせた。
本誌の取材に際しても、自分には全てが「よくできたコメディー」のように思えたと振り返っている。
キャロルは長年にわたりファッション誌「エル」で読者の相談に答えるコラムを手がけ、軽やかなリズムとパンチ力を併せ持つ文章で人気を博してきた。今回の執筆に当たっては、出廷した日の晩に必ず録音しておいたボイスメモが役に立ったと彼女は言う。
本書ではマンハッタンの連邦裁判所を「ニューヨーク屈指のランウェイ」と呼び、登場人物の服装を鋭い観察眼でしばしば分析。トランプの弁護人アリナ・ハバ(現在はニュージャージー州の連邦検事代理)の装いについては「いくらでも話せる」そうだ。
法廷でのやり取りは演劇のごとく描写され、弁護団の繰り出すジャブを証人が巧みにかわしてカウンターを放つ場面はまるでボクシングの実況中継のようだ。
トランプ弁護団で特異な存在感を放っていたのはセレブ弁護士のジョー・タコピナ。キャロルは彼を「輝く瞳」と「よく響く声」、「ポパイのような筋肉」と「モデル級の細いウエスト」の持ち主と評している(なおタコピナは500万ドルの評決後にトランプ弁護団を離脱した)。





