最新記事
脱炭素

地域の実情に応じた脱炭素をアジアに...日本が提唱する「トリプルブレークスルー」とは何か

2025年6月23日(月)16時00分
※JBIC Todayより転載

案件化の見込みが高いものについては、優先的に進める体制も整備している。特にASEAN諸国に対しては、プロジェクト実現に向けて推進する仕組みを次々と立ち上げている。

「具体的には、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピンですね。既存の動きをさらに加速させるとともに、各国のプロジェクトが実行フェーズへ進むよう働きかけています」

また、JBICが他国の技術を紹介するという形で課題を解決するアプローチも考えられる、と関根は指摘する。

「社会課題や必要なソリューションは多様で、日本の技術のみでソリューションを提供することができるとは限りません。JBICが他国の適切な技術やビジネスモデルをも紹介し、それによって日本の投資も実現しつつ課題が解決すれば、それも重要な貢献です。結果として、日本がグローバルパッケージを主導して成功したという形になれば、信頼されるパートナーとなるわけですから、非常に価値があります」

AZECが象徴するように、脱炭素化は単なる環境政策ではない。経済発展、エネルギー安全保障、地域協力を包括的に推進する戦略として、その重要性が高まっている。その実現に、JBICが果たす役割もより多様で広範なものになっていくだろう。


JBIC常務執行役員 インフラ・環境ファイナンス部門長 関根宏樹JBIC常務執行役員
インフラ・環境ファイナンス部門長
関根宏樹(せきね・ひろき)

1995年、東京大学経済学部卒業、日本輸出入銀行(現JBIC)入行。2005年、ロンドン・ビジネススクール金融修士課程修了。インフラ・ファイナンス部門などを経て、20~21年、英国王立国際問題研究所客員研究員。月に1度、関係国の駐在員も交えて、JBIC内でAZECに関する会議を行っている

※当記事は「JBIC Today」からの転載記事です。
「JBIC Today」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米政権高官が今週FRB訪問か、改修状況を審査と報道

ビジネス

ステランティス、上期23億ユーロの赤字に 関税やリ

ワールド

中国外務省、出国禁止の米銀行員は刑事事件に関与と指

ビジネス

中国EV「Zeekr」と「Neta」が販売水増しか
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞の遺伝子に火を点ける「プルアップ」とは何か?
  • 2
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人口学者...経済への影響は「制裁よりも深刻」
  • 3
    日本では「戦争が終わって80年」...来日して35年目のイラン人が、いま噛み締める「平和の意味」
  • 4
    「カロリーを減らせば痩せる」は間違いだった...減量…
  • 5
    父の急死後、「日本最年少」の上場企業社長に...サン…
  • 6
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 7
    約558億円で「過去の自分」を取り戻す...テイラー・…
  • 8
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 9
    小さなニキビだと油断していたら...目をふさぐほど巨…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 4
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 7
    「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞…
  • 8
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中