最新記事
中東

【歴史解説】核開発は当然「国家の権利」...米・イランの確執の原因「攻防の歴史」を振り返る

A Durable Nuclear Deal

2025年6月3日(火)16時17分
シーナ・アゾディ(米ジョージ・ワシントン大学講師)
イランの最高指導者アリ・ハメネイ師

イランにはウラン濃縮の合法的な権利があると主張するイランの最高指導者ハメネイ師 IRANIAN SUPREME LEADER’S OFFICEーZUMAーREUTERS

<イランの原子炉保有の野心は王制時代にさかのぼる。「主権」にこだわる国家は無条件降伏には応じない>

それなりの進展はあったが「まだ結論には程遠い」。5月23日にイタリアの首都ローマで開かれたイランの核開発をめぐる5回目の米・イラン高官協議について、仲介役を務めたオマーン政府関係者が発したコメントだ。

さもありなん。最大の争点は今も昔も使用済み核燃料の再処理(ウラン濃縮)能力だ。イランは核拡散防止条約(NPT)を根拠に、再処理は当事国の権利と主張するが、アメリカは否定している。


米政府の解釈では、NPTはウラン濃縮の権利を明示的に付与していない。だから濃縮計画を完全に放棄せよと主張する。だが、そんな高飛車な要求は通らない。

現状、トランプ政権は民生用の核開発なら認める意向を示しているが、それも「ウラン濃縮なし」という条件付きだ。マルコ・ルビオ米国務長官は4月に、「多くの国と同様、濃縮ウランを輸入する形なら民生用核プログラムは認める」と述べている。

1990年代まで、アメリカは目的を問わず「いかなる核開発」も認めないとする立場だった。それに比べたら大きな変化といえるが、あいにく交渉の着地点にはならない。

そもそもイランはイスラム革命以前の王制時代から、自前の核燃料サイクル確立を大前提として掲げており、この点ではアメリカと一貫して対立してきたからだ。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル横ばい、米労働関連指標を見極め

ビジネス

米11月求人件数、14カ月ぶり低水準 労働需要の減

ビジネス

米国株式市場=S&P500反落、金融株に売り AI

ワールド

トランプ氏の一般教書演説、2月24日の見通し 下院
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 5
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 6
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 7
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 8
    公開されたエプスタイン疑惑の写真に「元大統領」が…
  • 9
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 10
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 10
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中