新大統領の李在明も強権化するのか...韓国を蝕む「強いリーダー症候群」の正体
BEYOND THE STRONGMAN
再選の必要性があれば、大統領はもっと有権者に対して説明責任を果たすのではないかというのだ。李在明も金文洙もこうした憲法改正には大筋賛成しているから、どちらが選ばれたとしても、今後の問題は、いつ、どのように実現するかになるだろう。
だが、憲法改正だけでは韓国の民主主義を守ることはできない。アメリカでドナルド・トランプ大統領が再選された例が示すように、再選というハードルがある確固たる民主主義国でさえ、民主主義の劣化に見舞われる恐れがある。
なぜか。それは根本的な問題が、「強いリーダー症候群」にあるからだ。これは民主的に選ばれたリーダーがひとたび権力の座に就くと、国民のために早急に断固たる措置を取る必要があるとして、民主的プロセスを無視するようになることをいう。
尹が、国会で過半数を占める野党を「反国家勢力」と呼び、彼らが国政を麻痺させていると非難して戒厳令を宣布したことは、強いリーダー症候群の格好の例だ。
トランプ型権威主義に?
もちろん、これは韓国の政治家に特有の現象ではない。強いリーダー症候群は、政治的エスタブリッシュメントからの強い指導者予備軍の供給と、そのようなリーダーを求める需要がマッチングして、選挙で生まれる政治的連合により押し上げられて顕在化する。