「友好国」アメリカとイスラエルが対立か、シリアめぐり...中東で何が起こっている?
Israel Issues Warnings to Syria and Turkey as Trump Praises Their Leaders
シャラーがアサド政権を倒すまで
アサドの急激な失脚は、シャラーが指揮した11日間の攻勢によってもたらされ、2011年から続くシリア内戦における劇的な転換点となった。
アメリカは、クルド人主導のシリア民主軍(SDF)を支援してきた。しかし、反体制派がアルカイダやISISなど、ますます過激化するイスラム主義勢力に主導されるようになったことで、その支援はほぼ放棄されていた。
シャラーは2012年初頭にヌスラ戦線を設立し、それをシリアにおけるアルカイダの分派とした。
当初はイラクのアルカイダ司令官アブ・バクル・アル=バグダディとの同盟を結んでいたが、バグダディがヌスラ戦線を自らの組織に統合しようとしたことで、両者の関係は決裂。やがてその組織はISISとして知られるようになった。
SDFが米国の支援を受けて行った攻勢と、アサド政権がロシアとイランの支援を受けて行った攻勢が、全国の反体制派とジハード派の拠点を掃討する中で、シャラーはトルコ国境に接するシリア北西部のイドリブ県に権力基盤を固めた。バグダディは2019年10月、同地でのアメリカによる急襲作戦中に殺害された。
その頃までに、シャラーはより広い範囲で聖戦を行おうとする汎ジハード主義的な目的から距離を取り、2017年に組織名をハヤート・タハリール・アル=シャーム(HTS)へと改称した。
HTSは北シリアで活動する広範な反体制勢力の中で最も強力な組織と広く見なされており、シリア軍の定期的な攻撃にも耐え、2024年12月にはシリア情勢をひっくり返した。