「チャイナプラスワン」への衝撃...「米中合意」で揺らぐ新興国の優位性
北米貿易の専門家でコンサルタントのディエゴ・マルロキン・ビタル氏は「ゲームのルールは依然として不透明だ」と述べ、「企業は投資をできるだけ先送りするだろう」と予想した。
トランプ氏は1期目から、中国への関税を武器に、製造拠点を米国に移転させようとしてきた。
製造拠点を米国内に戻す「リショアリング」はほとんど実現しなかったものの、アップルなど一部の企業は過去10年間に、労働コストと関税率が比較的低い国に照準を定め、中国に代わる拠点を探し始めた。
東南アジア諸国はメキシコとともに、この流れから最大級の恩恵を受けていたが、米中関税の凍結が今後も延長されれば、比較優位性が失われかねない。ベトナム、タイ、マレーシアは現在、それぞれ米国との関税合意に向けて交渉中だ。メキシコも、自動車など特定の製品に対する関税率引き下げを求め続けている。
より有利な条件
上海の復旦大学・米国研究センターのウー・シンボー所長によると、貿易を巡る米中の緊張緩和により、中国からの生産移転を加速する計画だった企業はブレーキをかける可能性がある。
「これらの企業は現在の状況を維持し、中国を主要な事業拠点として維持しつつ、近隣諸国で適切な部分的措置を講じるだろう。事業の大半は中国に残るだろう」とウー氏は話した。