最新記事
米中合意

「チャイナプラスワン」への衝撃...「米中合意」で揺らぐ新興国の優位性

2025年5月14日(水)16時34分

中国の清華大学・国際安全保障戦略センターの研究員、スン・チェンハオ氏は、トランプ氏の政策決定の不確実性は、中国から脱却すべきか否かを、あるいは脱却の程度を決めたい企業にとって「非常につらい」と指摘。「現在緊張が緩和したからと言って、米企業が中国で大胆な事業展開を行うことはないだろう。どの企業も、再び関税が課されるのではないかと様子見を続けている」と語った。

トランプ氏は1期目にも中国に追加関税を課したため、ベトナムなどの国は当時から製造業を引きつけてきた。しかし予想外の米中接近により、こうした国々は、さらに有利な対米合意を結ぶ必要に迫られている。


 

ベトナムの国際法律事務所、ルターのレイフ・シュナイダー所長は「ベトナムが中国よりも良い合意を結ぶことができれば――今日、その可能性は高まった――、この地域の投資戦略において中国に代わる魅力的な場所としてアピールできるだろう」と述べた。

貿易を巡る緊張と不確実性により、ベトナムへの新規外国投資は既に減少しており、4月には契約ベースで前月比30%減、前年同月比約8%減の28億4000万ドルとなった。

一方、メキシコのシェインバウム大統領は、メキシコは米国の関税政策において比較的有利な立場にあると強調してきた。「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」によって対米輸出の大部分は関税が免除されている。ただトランプ氏は、鉄鋼、アルミニウム、車両、自動車部品に対しては大規模な関税を課している。

メキシコの元駐中国大使で現在は国際貿易コンサルタントのホルヘ・グアハルド氏は、12日の米中関税合意が今後も継続されたとしても、多国籍企業は中国1国に依存するリスクを警戒し続け、メキシコがその恩恵を被る可能性があると予想。「ウォルマート、ターゲット、ホームデポなど、5週間の地獄をくぐり抜けた主要な輸入企業であれば、一時的な緩和を歓迎しながらも別の輸入先を探しているだろう」と話した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 「外国人問題」徹底研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月27号(1月20日発売)は「『外国人問題』徹底研究」特集。「外国人問題」は事実か錯覚か。移民/不動産/留学生/観光客/参政権/社会保障/治安――7つの争点を国際比較で大激論

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

グリーン英中銀委員、インフレ圧力や賃金上昇指標を依

ビジネス

世界秩序は変化「断絶ではない」、ECB総裁が加首相

ビジネス

シティ、3月も人員削減へ 1月の1000人削減後=

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、1月速報値51.5で横ばい 価
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 3
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な一部」ではないと指摘
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 7
    コンビニで働く外国人は「超優秀」...他国と比べて優…
  • 8
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 9
    宇宙人の存在「開示」がもたらす金融黙示録──英中銀…
  • 10
    湿疹がずっと直らなかった女性、病院で告げられた「…
  • 1
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレアアース規制で資金が流れ込む3社とは?
  • 4
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 5
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 9
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中