中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の火種」が...トランプが見落とす「危機の兆候」
THE LOOMING ALEUTIANS CRISIS
サリバン議員は昨年9月に中ロがこの周辺海域で合同軍事演習を実施した後にも、「7日間で5回にわたり、ロシアの海軍と空軍が、アメリカのADIZやEEZ(排他的経済水域)に侵入した」と指摘した。
これに対抗して、米陸軍は第11空挺師団をアリューシャン列島に配備した。だが、アメリカを取り巻く戦略的環境の危険度が高まるなか、中国の脅威に対抗するにはさらなる措置が不可欠だ。中国はベーリング海やアリューシャン列島などアメリカの支配地域で軍事演習を行うことで、アメリカの威信を傷つけながら自らの決意を表明している。
航行の自由は、アメリカが北極圏で敵対勢力を阻止するという使命を果たす上で極めて重要な条件だ。中国の関心は一見、経済に向けられているように見えるが、地政学的な重要拠点への中国のアクセスは、アメリカや太平洋地域の同盟国にとって安全保障上の重大な意味を持つ。
なかでも、アメリカにとっての戦略的緩衝地帯で軍事活動を強化する中国の試みは、地域の抑止力を損なう。実際、そうした活動はアメリカの国益への直接的な挑戦だ。北極圏および北太平洋地域におけるアメリカの拡大抑止行動を妨げ、ひいては西太平洋や南太平洋にも影響が及ぶ可能性がある。