最新記事
北極海

中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の火種」が...トランプが見落とす「危機の兆候」

THE LOOMING ALEUTIANS CRISIS

2025年5月14日(水)15時55分
アレックス・アルフィラーズ・シアーズ(軍事アナリスト)
アラスカ州で寒冷地向けの訓練を受けるSEALs(米海軍特殊部隊)

アラスカ州で寒冷地向けの訓練を受けるSEALs(米海軍特殊部隊) ERIC S. LOGSDONーU.S. NAVY/GETTY IMAGES

<「グリーンランド」騒ぎの陰で、北太平洋の戦略海域に、中ロ軍が忍び寄る>

太平洋の見過ごされがちな島々で新たな脅威が高まっている。台湾をめぐる核危機の可能性は依然として現実的だが、アリューシャン列島とベーリング海峡周辺における中国の大胆な軍事活動も軽視できない。

アリューシャン列島の大部分はアラスカ州に属し、アメリカの極めて重大な利益の一部である。中国とロシアの両方に近く、一部はロシアに属しているこの列島について、アメリカが抑止力の強化と断固たる意思表示を怠れば、北極圏における米領土の完全性が脅かされるだけでなく、中国が台湾海峡での軍事活動を強化する弾みになりかねない。


北極圏の状況は緊迫している。中国とロシアは近年、この地域において共同で軍事活動を展開している。ドナルド・トランプ米大統領は、デンマーク領グリーンランドは「世界の安全保障のために」アメリカが領有する必要があると繰り返しており、3月28日にはJ・D・バンス副大統領が現地を視察した。

一方、米本土の北西に位置するアラスカ北極圏でも脅威が高まっている。米国家情報長官室(DNI)は3月25日に発表した世界の脅威に関する年次報告省で、新興の脅威の文脈でアラスカに簡単に言及した。

ただし、報告書は中国が台湾について描く野心や、ロシアがウクライナで続けている戦争への懸念を強調しているが、アリューシャン列島をめぐる脅威は具体的に論じていない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

自動車など関税維持との米大統領発言、「承知もコメン

ワールド

ロシア、交渉団メンバー明らかにせず 「プーチン氏の

ビジネス

中国新規銀行融資、4月は予想以上の急減 貿易戦争で

ビジネス

関税の影響見極めにさらなるデータ必要=シカゴ連銀総
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 3
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 6
    加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新…
  • 7
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 8
    iPhone泥棒から届いた「Apple風SMS」...見抜いた被害…
  • 9
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 10
    「奇妙すぎる」「何のため?」ミステリーサークルに…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 4
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 7
    加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新…
  • 8
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 9
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 10
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中