中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の火種」が...トランプが見落とす「危機の兆候」
THE LOOMING ALEUTIANS CRISIS

アラスカ州で寒冷地向けの訓練を受けるSEALs(米海軍特殊部隊) ERIC S. LOGSDONーU.S. NAVY/GETTY IMAGES
<「グリーンランド」騒ぎの陰で、北太平洋の戦略海域に、中ロ軍が忍び寄る>
太平洋の見過ごされがちな島々で新たな脅威が高まっている。台湾をめぐる核危機の可能性は依然として現実的だが、アリューシャン列島とベーリング海峡周辺における中国の大胆な軍事活動も軽視できない。
アリューシャン列島の大部分はアラスカ州に属し、アメリカの極めて重大な利益の一部である。中国とロシアの両方に近く、一部はロシアに属しているこの列島について、アメリカが抑止力の強化と断固たる意思表示を怠れば、北極圏における米領土の完全性が脅かされるだけでなく、中国が台湾海峡での軍事活動を強化する弾みになりかねない。
北極圏の状況は緊迫している。中国とロシアは近年、この地域において共同で軍事活動を展開している。ドナルド・トランプ米大統領は、デンマーク領グリーンランドは「世界の安全保障のために」アメリカが領有する必要があると繰り返しており、3月28日にはJ・D・バンス副大統領が現地を視察した。
一方、米本土の北西に位置するアラスカ北極圏でも脅威が高まっている。米国家情報長官室(DNI)は3月25日に発表した世界の脅威に関する年次報告省で、新興の脅威の文脈でアラスカに簡単に言及した。
ただし、報告書は中国が台湾について描く野心や、ロシアがウクライナで続けている戦争への懸念を強調しているが、アリューシャン列島をめぐる脅威は具体的に論じていない。