アメリカで注目高まるダイエット・コークの「変貌」
Not Just for the Taste of It
減量薬人気が逆風に?
ニューヨーク大学のマリオン・ネッスル名誉教授(栄養学・食品研究・公衆衛生)は、本誌に対し「コカ・コーラはMAHA運動に便乗しようとしているように思える」と語った。「そもそもダイエット・コークの広告ターゲットはダイエット中の人々だったが、最近では糖分の摂取を減らそうと努めている人々も対象になっている」
だがアメリカでは、糖尿病治療薬のオゼンピックなどが減量薬として人気を集めている一方で、糖分やスナック、超加工食品の摂取を全て控えようとする人も増えている。これはダイエット・コークにとって逆風かもしれない。
「ダイエット・コークは『痩せた若い女性たち御用達の薬』というポジションを、オゼンピックなどの減量薬に奪われつつある」と、ハガティは言う。
1880年代にジョージア州アトランタの薬剤師が発明したコカ・コーラのレシピは、世界中でアメリカのソフトパワーの象徴となった。世界規模のマーケティングにより、コカ・コーラはアメリカ文化やアメリカ人のライフスタイルと強く結び付いている。
コカ・コーラはダイエット・コークの販売数について公表していないため、売り上げが伸びているかどうかは分からない。だがソーシャルメディアを見る限り、世代や属性を超えて広く愛されるという偉業を成し遂げているようだ。トランプやマスクのようなパワフルで社会的地位の高い男たちにも、Z世代やその前のミレニアル世代の女性たちにも愛されている商品がほかにあるだろうか。