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戦時下での選挙は「ロシアの思う壺」...ウクライナが急いで大統領選を行ってはいけない「これだけの理由」

Why Elections in Ukraine Will Not End the War

2025年4月22日(火)17時30分
アンドレアス・ウムランド(スウェーデン国際問題研究所研究員)

ゼレンスキー大統領

再選の見込みもあるゼレンスキー大統領 JUSTIN YAUーSIPA USAーREUTERS

ロシアは選挙を要求する理由として、ウクライナ指導部の正統性への疑念を挙げているが、これはおかしな主張だ。ウクライナの選挙は国際的な監視団から自由かつ公正と広く認められているが、ロシアの選挙はそうではない。

ロシアの狙いはウクライナの国民主権を守ることではなく、選挙期間の脆弱さに乗じて体制を転覆させること。つまり、ウクライナの不安定化と属国化をもくろんでいるのだ。


こうした思惑に気付かなかったり重要視していない評論家もいるが、選挙要求に隠されたロシアの破壊的意図を過小評価すべきではない。

ゼレンスキーが最有力

2022年の全面侵攻開始以降、大半の世論調査がゼレンスキー再選の可能性が高いことを示している。ただし、決選投票で73%の票を得た19年の圧勝が再現される可能性は低い。この3年間、ゼレンスキーの支持率は常に変動しており、次回選挙の結果を予測するのは困難だ。

昨年には元ウクライナ軍総司令官で現在は駐英ウクライナ大使を務めるワレリー・ザルジニーの人気が、複数の世論調査でゼレンスキーを上回った。ザルジニーはゼレンスキーが21年に軍の最高司令官に任命した人物で、大統領選の強力な対抗馬となり得る。

だが現時点では本人は出馬意欲を見せておらず、政党結成などの準備もしていない。昨年ロンドンに赴任して以来、表舞台に登場する機会は減っているが、今もゼレンスキーの仮想ライバルの誰よりも高い支持率を維持している。

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