韓国次期大統領の最右翼「李在明の正体」民主主義の破壊者?それとも庶民の救済者? 

Lee Jae-myung’s Strategic Bet

2025年4月16日(水)15時38分
スティーブン・デニー(ライデン大学准教授)

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罷免が確定したことにうなだれて涙を流す尹の支持者 CHRIS JUNGーNURPHOTOーREUTERS

ただし、李を担ぐことに異論がなかったわけではない。李洛淵(イ・ナギョン)元首相を含む党重鎮の間には、彼の適格性を疑問視する声があった。党の方向性をめぐる対立に加え、一連の汚職疑惑(いわゆる「李在明の司法リスク」)が晴れない限り選挙には勝てないという懸念もあった。

党内にはイデオロギーや政治姿勢に関する対立もあった。李の左傾化したポピュリズムと好戦的なスタイルは、党内の比較的穏健な中道派には受け入れ難かった。


23年に入ると党内の緊張関係は頂点に達した。尹政権の意向を受けた検察が、裁判に先立って李を収監しようとしたからだ。

容疑は城南市長時代の都市開発事業に関わる便宜供与と、京畿道知事時代の北朝鮮への不正送金の2つ。通常、国会議員は議会の開会中には逮捕されないが、検察はあえて逮捕状を請求。李の逮捕を認めるかどうか、議会で採決が行われる事態となった。

最終的には、裁判所が証拠不十分を理由に逮捕状の請求を退けたため、辛うじて李は収監を免れた。普通に考えれば屈辱的な展開だが、李は強気で反撃に出た。

見せしめとして、採決で李の逮捕に同意した共に民主党の穏健派議員らの役職を剝奪したのだ。自分に忠誠を誓わない者は容赦しない。そういう姿勢が鮮明になった。

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