韓国次期大統領の最右翼「李在明の正体」民主主義の破壊者?それとも庶民の救済者? 

Lee Jae-myung’s Strategic Bet

2025年4月16日(水)15時38分
スティーブン・デニー(ライデン大学准教授)

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憲法裁判所の判断で尹大統領の罷免が決まったことを歓迎し、シュプレヒコールを上げる市民 CHRIS JUNGーNURPHOTOーREUTERS

李が政界に進出したのは2010年。首都ソウル近郊にある城南市の市長に選ばれ、若年層への福祉給付や公共サービスの拡大といった進歩的政策を推進した。

次いで京畿道知事(18~21年)となり、若者向けユニバーサル・ベーシック・インカム(最低所得保障)の試行に取り組み、壮大な公共住宅建設計画を打ち出すなどして、ポピュリストだが手堅い指導者という評価を固めた。


だが政治倫理に関しては何かと問題が多かった。不動産開発やサッカークラブの運営に絡む収賄や便宜供与などで何度も捜査対象となっており、人格的にはダークなイメージが強い。

22年の大統領選では僅差で保守の尹錫悦に敗れたが、めげずに数カ月後の国会議員補選に出馬し、見事に当選して復活を果たした。勢いに乗って、同年8月には共に民主党の代表に就任。その後は党内基盤を固めて、自身の好む政策や方針を党の綱領に盛り込んだ。

暮らしに密着する政策

党首としては2つの戦略を打ち出した。議会では保守系与党との対決姿勢を鮮明にする一方、有権者には暮らしに密着したポピュリスト的な政策でアピールする作戦だ。

いい例が「モクサニズム」というスローガンだろう。韓国語で「食べていくこと、生きていくこと」を意味し、徹底して庶民の暮らしを守る経済政策を標榜した。重視するのは抽象的な理想や理念ではなく、雇用や住宅、福祉といった切実な問題だ。

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