プーチンの最終目標が見えた──トランプが非難する『選挙を経ていない独裁者』、ゼレンスキーの孤立
Russia’s Playbook
プーチンはゼレンスキーを失脚させることで、ウクライナ侵攻について掲げる目標の1つである「非ナチ化」に進展があったとも主張できる。
ゼレンスキーはユダヤ系だが、ロシアは彼が「ナチスが支配するウクライナの指導者」だというプロパガンダを広め、侵攻の正当化とロシア国民の支持獲得に利用してきた。
トランプもゼレンスキーには恨みがある。彼はウクライナ政府に圧力をかけて、2020年の大統領選で戦うことになりそうなジョー・バイデンに関する調査を求めた件で、最初の弾劾訴追を受けた。この動きの中心にいたのがゼレンスキーだ。
トランプは最近、ゼレンスキーを「選挙を経ていない独裁者」と呼んだ。
ウクライナで政権が交代すれば、プーチンは最終目標に近づく。それは、独立国家としてのウクライナの消滅だ。
ロシアは偽情報を拡散したり、親ロ派の主張や政界関係者を後押しして外国政府に影響力を及ぼす「ハイブリッド戦争」を得意とする。ウクライナでは、こうした戦略で国内の分断や政治腐敗を利用し、政治的な転覆工作を通じて親ロ派指導者を徐々に権力の座に近づけることが可能になる。
そうなれば、ウクライナはロシアの支配下に再び引きずり込まれかねない。アメリカがウクライナを搾取の対象と見なし、欧州がこのままロシアに正面から対抗する意思と能力を示さないなら、その可能性はさらに高まる。