不動産王トランプの新たな妄想「ガザのリゾート化」は実現可能か? 和平への唯一の道は「これだ」

DONALD TRUMP AND THE FUTURE OF GAZA

2025年2月12日(水)15時46分
トム・オコナー(外交担当副編集長)、エリー・クック(安全保障・防衛担当)

エルサレムについては、イスラエルとパレスチナの双方が自国の首都だと主張してきた。

イスラエルは67年の第3次中東戦争で東エルサレムを占領し、80年に正式併合を宣言したが、これは国際社会で強く非難された。国連は今もエルサレムは東西に分割されているとの立場だ。


いずれ自治政府が本格的なパレスチナ国家に改組されれば、かなりの警察力は必要になるが、ランド研究所の見立てでは、戦車や大砲を備える規模の軍事力保有は禁じられる。

代わりに、まずは中東や西側の諸国で構成する「特別多国籍連合機関」が現地に展開し、その後に平和憲法が施行され、パレスチナの人々には自分たちの指導者を選挙で選ぶ機会が与えられる。そんな筋書きだ。

今のガザはイスラエル軍による激しい爆撃と地上作戦でほぼ壊滅状態にあるが、ランド研究所は金融や医療、教育や司法のシステムも新たにつくり直す必要があると指摘し、「物理的・社会的なインフラが荒廃したまま、希望が生まれにくい状況では、平和に向かって決然と舵を切ることはできない」としている。

いずれにせよ、ガザの再建案は中東諸国だけでなく国際社会にも支持される必要がある。サウジアラビアやエジプト、ヨルダンやUAEなどが仲介の労を取ってイスラエルとの貿易協定を締結する必要もある。

またアメリカやイギリス、EU加盟諸国はもちろん、中国も平和の維持に一定の役割を果たすものと想定されている。

ランド研究所によれば、「外国勢の影響力は時に(イスラエルとパレスチナの)紛争が続く要因となってきたが、今後はパレスチナの恒久的平和実現への道筋をつけるに当たって諸外国が決定的な役割を果たすことになる」と期待される。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

OPECプラス、6月日量41.1万バレル増産で合意

ビジネス

日本との関税協議「率直かつ建設的」、米財務省が声明

ワールド

アングル:留学生に広がる不安、ビザ取り消しに直面す

ワールド

トランプ政権、予算教書を公表 国防以外で1630億
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見...「ペットとの温かい絆」とは言えない事情が
  • 3
    野球ボールより大きい...中国の病院を訪れた女性、「CT写真」で体内から見つかった「驚愕の塊」
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    なぜ運動で寿命が延びるのか?...ホルミシスと「タン…
  • 8
    「2025年7月5日天体衝突説」拡散で意識に変化? JAX…
  • 9
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 10
    「すごく変な臭い」「顔がある」道端で発見した「謎…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 10
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中