最新記事
パレスチナ情勢

「UNRWA(アンルワ)」とは何か?...イスラエルによる追放で新たな危機が始まる

Israel’s UNRWA Ban

2025年2月3日(月)15時05分
ジョン・ハルティワンガー、エイミー・マッキノン(いずれもフォーリン・ポリシー誌記者)
UNRWAが届けた食糧を運ぶパレスチナの人々

UNRWAが届けた食糧を運ぶパレスチナの人々(1月29日、ガザ地区) MAJDI FATHIーNURPHOTOーREUTERS

<パレスチナ人にとって重要な命綱となっている国際組織をイスラエルが活動禁止にしたが、代替組織はあるのか?>

イスラエル国内で国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を禁止する法律が1月30日に施行された。

イスラエルとイスラム組織ハマスの脆弱な停戦合意が1月19日に発効したばかりの今、既に不安定な状況をさらに不安定にする恐れがある。


■UNRWAとは?

パレスチナ自治区ガザ、ヨルダン川西岸のイスラエル占領地域、東エルサレム、レバノン、ヨルダン、シリアに暮らす数百万人のパレスチナ人に食糧、教育、医療、住居などあらゆる支援を提供している。

1948年の第1次中東戦争により故郷を追われたパレスチナ難民を支援するために、49年に設立された。

ガザでは現在約1万3000人が働いている。フィリップ・ラザリーニ事務局長によると、2023年10月のイスラエルとハマスの戦闘開始以降にガザの食糧支援の約3分の2を、停戦以降も食糧支援の約60%を担っており、パレスチナ人にとって重要な命綱と見なされている。

■なぜ活動禁止に?

国連と長年、対立してきたイスラエルは、UNRWAにハマスの関係者が数多く潜入していると非難。昨年10月に今回の法律を可決した。

イスラエルはハマスが主導した23年10月の襲撃にもUNRWAの職員12人が加担したと主張。国連の調査で9人が関わった可能性があるとされ解雇された。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

シリア外相・国防相がプーチン氏と会談、国防や経済協

ビジネス

円安進行、何人かの委員が「物価上振れにつながりやす

ワールド

ロシア・ガスプロム、26年の中核利益は7%増の38

ワールド

英、農業相続税の非課税枠引き上げ 業界反発受け修正
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中