1995年出版の『現代日本の感覚と思想』において、社会学者の見田宗介(みたむねすけ)は戦後の日本を3つの時代に分けた。高度経済成長以前の「理想の時代」、高度経済成長期の「夢の時代」、そしてオイルショック後のポスト高度経済成長期「虚構の時代」だ。
見田によれば、「虚構の時代」とは、新しい社会の在り方を目指す「理想」でも、アメリカンドリームを目指し経済成長を追い求める「夢」でもなく、虚構すなわち「フィクション」を媒介することによってしか現実を把握できない時代だった。
以上のことは、フランスで日本のサブカルチャーが大人気を博したことと、どうつながるのか。
第2次大戦後、サブカルチャーをめぐる両国の状況には類似点があった。どちらもアメリカの圧倒的な影響を受けながらも、その焼き直しにならないよう自国の世界観を維持しつつ、文化的環境を形成したのだ。
フランスにおける日本アニメブームの発端となったのは、『UFOロボ グレンダイザー』だ。78年に放映されると子供たちに大きなインパクトを与え、今も日本のサブカルチャーのシンボルと言える作品だ。
その後、日本のアニメが次々と放送されると、作品によっては暴力的な内容などから激しい反発も引き起こした。「ファシスト的」だとさえ言われることもあり、視聴を禁止する家庭も少なくなかった。
そんななか、日本では一部のヒットにすぎなかった『グレンダイザー』が、なぜこれほどフランスの子供たちの心を捉え、その後のサブカルチャーにおけるフランスと日本の関係に強い影響を与えたのか。