今年でブランド誕生から70周年を迎えた「ティファール」などを展開するグループセブ ジャパンのジュリアン・メジャー社長と、国内10か所で「プレミアム・アウトレット」を展開する三菱地所・サイモンの前田達也専務が、日本市場における戦略、そして激変する小売環境における「リアルな体験価値」の未来について語り合った。
長年愛され続ける秘訣と「ローカライズ」の重要性
ジュリアン これまで長きにわたり、プレミアム・アウトレットの素晴らしい環境の中で店舗を展開させていただいています。私たちのブランドやプロダクトを、洗練されたプレミアムな空間で直接触れていただき、購入してもらえる。メーカーにとって、これ以上ないほど恵まれた環境です。
前田 御社の豊かなプロダクトラインや充実したバラエティは、私どもの施設の価値を大いに高めてくださっています。「ティファール」ブランドにはキッチンウェアからホーム家電まで幅広く生活を彩る商品群が揃い、ファミリー層をはじめ、若い世代など多様なお客様層の方々に至るまで強いアピール力があります。今年でブランド誕生70周年を迎えられたとのこと、おめでとうございます。
ジュリアン 70周年という節目を迎えられたことは、本当に幸運であり誇りに思っています。愛されるブランドであり続けられた最大の秘訣は、常に「消費者の声に耳を傾ける」という強いエネルギーを会社全体で持ち続けてきたことです。私たちは、その日本のお客様の声をしっかりと拾い上げ、海外にある本国の開発チームと密に連携を取りながら、「日本市場に本当に合致したプロダクト」を作り上げることにエネルギーを注いでいます。
例えば、「取っ手のとれるティファール」は、日本の限られたキッチンスペースでもコンパクトに収納できるという利便性が、日本人の生活様式にマッチしました。また、それまで無かった「電気ケトル」という新しいカテゴリーで生活に新たな利便性をもたらしたことも、革新的なプロダクトをニーズに合わせて提供できた好例です。
前田 私どもはアウトレットでは日本で唯一の外資系ディベロッパーの流れを汲む企業として、多くの外資系テナントとお付き合いをさせていただいておりますが、その中でも御社は特に日本市場への「ローカライズ」に対する発言力、そしてマーケティング力が際立って強い印象があります。
「取っ手のとれる」シリーズもそうですが、日本向けの「炊飯器」の開発には非常に長い年月と膨大な時間を費やされたそうですね。こうした日本マーケットへの徹底的なコミットメントと、本国フランスとの粘り強い調整力をお持ちだからこそ、日本の消費者に深く刺さる商品が生まれるのでしょう。ディベロッパーの立場から見ても、非常に信頼できる、ありがたいパートナー様です。
ジュリアン 当初から徹底したのが「消費者の声から徹底的に学ぶ」という姿勢です。「お客様が何を求めているのか」を愚直に聞き続け、それを海外の開発チームにフィードバックし、プロダクトの仕様やデザインに落とし込んでいく。このサイクルを途切れなく回し続けてきました。
これからも色褪せない、リアルな体験価値を追求
前田 私どもが2000年に最初の施設である「御殿場プレミアム・アウトレット」をオープンしてから、約四半世紀が経過しました。この間、アウトレットを取り巻く環境とお客様の捉え方は、劇的に変わったと感じています。現在では、単なる買い物の場を超えて、地域観光の重要拠点、あるいは訪日外国人観光客のツアーに組み込まれるほどの「目的地」となっています。
お客様は単に安いものを買いに来るのではなく、そこで過ごす一日、つまり「時間消費」を楽しみに来られているのです。テナント側にとっても、ブランドの顧客戦略において欠かせない重要なフラッグシップ拠点となりました。
ジュリアン お客様が「時間をかけてブランドと向き合ってくれる」のが、アウトレットの最大の魅力です。だからこそ、店頭での「体験価値」の提供に全力を注いでいます。
実際に商品に触って、試していただくことはもちろん、実演デモンストレーションを行ったり、お勧めのアドバイスを直接お伝えしたり、動画を活用して商品の魅力を視覚的に伝えたりしています。じっくりと納得してご購入いただける、まさに理想的な購買体験がここにあります。
前田 ティファールの店舗は、施設全体に非常にポジティブなエネルギーをもたらしてくれていますね。まず、キッチン・ホーム家電という独自の品揃えが明確な差別化になっていますし、多岐にわたる複雑なアイテム群が非常に分かりやすく壁面や什器に整理・表示され、お客様の目を引きます。
分かりやすい売り場と、深い体験価値の提供が両立し、これがお客様の滞在時間を延ばし、施設全体の満足度を押し上げる強力なフックになっています。
ジュリアン 私たちの特徴は、どの店舗に行っても変わらない「一貫性」です。一歩足を踏み入れた瞬間に、ティファールの世界観に包まれるような空間を目指しています。買い手にとっての分かりやすさと、ブランドストーリーの発信を何よりも重視して作り込んでいるのです。
前田 プレミアム・アウトレットは、10の拠点それぞれに異なる特性があります。インバウンドの需要が非常に強い施設もあれば、ローカルのファミリー層が中心の施設もあります。
ですから、各テナントが「どの国のお客様に強いのか」「どういったプロファイルのお客様に支持されているのか」を深くヒアリングし、理解した上で、その施設に最適な「テナントミックス」を構築するよう尽力しています。ティファールのように、国内の幅広い層にもインバウンドにも強いブランド様は、どの施設においても重要なブランドの一つです。
ジュリアン 現在、オンラインショッピングが急速に拡大し、小売の世界は大きく変化しています。しかし私は、現地に足を運び、実際に目で見て触って買い物をする「リアル店舗」の価値は、絶対に色褪せない唯一無二のものだと信じています。
だからこそ、店頭でのデモンストレーションや新しいマーケティング体験を通じて、プレミアム・アウトレットに足を運んでくださるお客様に、今後も最高の体験を提供し続けたい。これからも両社で手を取り合い、共に成長していければ幸いです。
前田 常に革新的な新商品を市場に投入されていますが、その根底には、簡単には真似できない長い歴史と伝統、そして脈々と流れる「クラフトマンシップ」があることを今回深く再認識いたしました。
また、カスタマーフォーカス、そしてストーリーテリングを何よりも大切にされ、それを本国と連携しながら日本のチーム全員が徹底して実践されているカルチャーには、私どもも強く共鳴するものがあります。進化し続けていくプレミアム・アウトレットの舞台で、これからもティファールが提案する新しいライフスタイルのストーリーを、共に多くのお客様へ届けていけることを心から楽しみにしています。
●問い合わせ先/グループセブ ジャパン(ティファール)
https://www.t-fal.co.jp/
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