米国における移民の逮捕件数がこの数カ月間で急増している。背景には移民・税関捜査局(ICE)と地方法執行機関の協力強化、人物の追跡や処理のための技術活用の拡大、および連邦機関同士のデータ共有強化がある。

しかし、ロイターが米政府の暫定データを検証したところ、2026年夏の大規模な一斉摘発キャンペーンはそれに比例した強制送還者数の増加にはつながらなかった。トランプ大統領の掲げる大量送還目標には、法的手続きや移送面での制約が立ちはだかっている。

暫定データによると、8月の逮捕件数は約5万1000件と、過去最高を3カ月連続で更新した。一方、強制送還者数はおおむね横ばいで、1日当たりの平均は約1200人にとどまった。

送還データ・プロジェクト(DDP)が情報公開請求を通じて政府から入手し、ロイターが分析した逮捕者数のデータによると、5月の逮捕者数は約1万9000人少なかったにもかかわらず、1日当たりの強制送還者数はほぼ同水準だった。

現職および元職の計5人の政府当局者は、このような乖離(かいり)が生じているのは、取り締まりの対象者が変化しているためだと指摘する。DDPのデータによると、逮捕者の中には刑事上の有罪判決や起訴歴がなく、国外退去命令も受けていない人が増えている。

摘発された人々の多くは、亡命申請や他の法的請求が係属中だった。つまり、権利を放棄して自発的に出国することに同意しない限り、直ちに国外退去させることができなかった。

元当局者らによると、利用可能な航空機の不足や、受け入れ国による制限もトランプ氏の強制送還への意欲を阻んでいる。

ホワイトハウスのローレン・ビス報道官はロイターの質問に対して「これは事実に反する」とし、「トランプ氏の強力な移民取り締まり政策のおかげで、300万人の不法滞在者が米国を去った」とコメントした。

拡大する一斉摘発