最新記事
中東

ヒズボラの無線機同時爆発の黒幕とみられるイスラエル・モサドの暗殺史

Exploding Pagers to Cyber Worms: Mossad's Most Audacious Hits

2024年9月19日(木)18時00分
マヤ・メフララ

マフムード・マブフーフの暗殺

パレスチナのイスラム組織ハマスの幹部が2010年にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイのホテルの一室で殺された事件。被害者のマフムード・マブフーフはハマスの軍事部門の共同創設者・司令官で、過去に何度も暗殺未遂を生き延びてきた。

犯行には少なくとも26人の工作員が関与したとみられ、ヨーロッパ各国の偽造パスポートを所持し、ウィッグやメガネを使い、さまざまに変装していた。死因についてははっきりした結論は出ていないが、筋弛緩剤を投与された後に窒息死させられたとみられている。

「スタックスネット」による核施設攻撃

マルウェア「スタックスネット」は2010年に初めて見つかったが、開発は2005年に始まったようだ。コードネーム「オリンピック・ゲームズ」作戦の一環として、イランの核開発を妨害するためにイスラエルとアメリカが共同で開発したと言われているが、両国とも関与を認めていない。

産業用の監視制御・データ取得システムを標的にしたマルウェアだが、核施設の制御システムは外部からの攻撃を防ぐためインターネットに接続されていない。そこでこのマルウェアはネット経由で施設内のコンピューターに感染した後、ユーザーに気づかれないよう潜伏を続け、USBメモリなどを介してスタンドアローンの制御システムに侵入する。

イランの核施設が集中的に攻撃を受け、ウラン濃縮用の遠心分離機が一時ダウンした。

バイクに乗った暗殺者たち

モサドは2010〜2012年、イランの首都テヘランでイラン人の核科学者5人の暗殺を試みたとされる(うち1人は殺害をまぬがれた)。イランは2012年1月、アメリカとイスラエルが相次ぐ暗殺を仕掛けたと主張、特にモサドの犯行が疑われると強く非難した。大半のケースに共通する手口は、核科学者が乗った車にバイクで近づき、磁石付きの爆弾を車体に貼り付けて、爆破する前に走り去るものだ。

イスマイル・ハニヤの暗殺

2017年からハマスの政治局長を務めていたイスマイル・ハニヤが2024年7月31日、イランの新大統領の就任式出席のために滞在していたテヘランで暗殺された。これも、モサドの仕業とみられている。モサドはハニヤの滞在先に爆弾を仕掛けたか、ミサイル攻撃を行った模様だ。

2023年10月7日にハマスが実施したイスラエル南部への奇襲攻撃を受け、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ハマス幹部がどこにいようと殺せとモサドに命じたと、記者会見で語った。ハニヤ暗殺の前日には、イスラエル軍はベイルートを空爆し、ヒズボラの司令官を殺害したと発表していた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ホルムズ海峡の石油輸送、イランの対応「不十分」=ト

ワールド

20日分の石油備蓄、5月上旬以降放出する=高市首相

ワールド

ロシアがイースター停戦表明、11─12日 ウクライ

ワールド

サウジの石油生産・パイプライン輸送量減少、エネ施設
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡散──深まる謎
  • 4
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 9
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中