最新記事
米大統領選

トランプ、激戦州死守へ賭けの戦略 「投票意欲低い保守層」ターゲットに戸別訪問を開始

2024年9月14日(土)12時00分
トランプ陣営ボランティアのレイチェル・ゴットバーグさんとクリス・ゴットバーグさん夫妻

11月5日の米大統領選を巡り、共和党候補のトランプ前大統領の陣営が投票意欲の低い有権者を標的に戸別訪問を展開していることが分かった。写真はトランプ陣営ボランティアのレイチェル・ゴットバーグさんとクリス・ゴットバーグさん夫妻。ペンシルベニア州ヨークで8月撮影(2024年 ロイター/Nathan Layne)

11月5日の米大統領選を巡り、共和党候補のトランプ前大統領の陣営が投票意欲の低い有権者を標的に戸別訪問を展開していることが分かった。こうした戦略は新たな有権者層の取り込みにつながる可能性を持つ半面、有権者が重い腰を上げて投票所に出向かなければ人的、資金的資源の無駄遣いに終わる恐れもある。

トランプ陣営のボランティアをしているレイチェル・ゴットバーグ、クリス・ゴットバーグ夫妻は先月、激戦州ペンシルベニアのヨークで戸別訪問を行った。有権者登録手続きをしたばかりだったり、毎回投票に来なかったりなど、投票意欲の低い有権者への接触がその日の目標だった。

過去にも選挙戦で戸別訪問を行った経験を持つレイチェルさん(34)によると「これは2020年にはなかった全く新しい着眼点」で、今回選挙戦ではすでに250戸の訪問を終えたという。 

トランプ陣営と支持者が大統領選の結果を左右する7つの激戦州で、あまり投票に行かない有権者をターゲットにした前例のない取り組みに注力していることが、トランプ陣営スタッフ、草の根団体の関係者、共和党郡組織の責任者、献金提供者など30人余りの取材で明らかになった。トランプ陣営のこうした選挙戦略が報じられるのは初めて。

候補者は通常、支持基盤を広げるにあたって投票頻度の低い有権者と「スイングボーター(投票先が揺れる有権者)」の両方をターゲットに据える。しかし過去の選挙戦に比べ、トランプ陣営は投票頻度の低い有権者に重きを置いている。標的となる有権者は主に地方に住む若者層の白人だが、白人以外の有権者もかなりの割合で含まれる。

「こうした有権者がわれわれの考えに賛同し、われわれを支持していることは分かっているが、投票所に出向かせる必要がある」と、トランプ陣営幹部のジェームズ・ブレア氏は話した。

8日公表のニューヨーク・タイムズ紙とシエナ大の共同調査で、あまり投票に行かない有権者を狙うトランプ陣営の選挙戦略に見込みがあることが浮き彫りになった。この調査によると、トランプ氏は全有権者対象では支持率が48%で、民主党候補ハリス副大統領の47%と拮抗したが、2020年の選挙で投票しなかった有権者の間では支持率が49%と、ハリス氏を9ポイント上回った。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイラン再攻撃計画か、トランプ氏に説明へ

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 5
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 8
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 9
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 10
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中