最新記事
米大統領選

トランプ参謀は共和党のキングメーカー(?)で陰謀論者で、推し候補「負け続き」のこの男

Jr. Isn’t the Best Adviser

2024年9月4日(水)17時15分
ベン・マティスリリー

その他トランプJr.が推した過激な候補の惨敗を挙げればキリがないが、最もお粗末な1件はミズーリ州上院議員選の共和党予備選でエリック・グライテンズ元知事を推したことだろう。グライテンズはリベンジポルノ疑惑で不倫相手に訴えられ、知事を辞任した人物。勝ち目がないのは分かりきっていた。

このように人を見る目はなさそうなトランプJr.だが、父親の信頼は厚い。22年にオハイオ州上院議員選に出馬したJ・D・バンスをトランプが推薦したのも息子の働きかけがあったから。この夏トランプがバンスを副大統領候補に据えたのもそうだ。NBCが次のように伝えている。


前大統領が、最近までほぼ無名だったノースダコタ州知事のダグ・バーガムに傾いていると示唆すると、その場が緊迫した。昨年12月に大統領選の候補指名争いから撤退したバーガムは、トランプより目立つ心配はない政治家だ。

すると、トランプJr.と次男のエリック・トランプが声を上げた。「彼らは激怒した。バカげている、彼は何も貢献していない、と。2人はひたすら『JD、JD、JD』という感じだった」と、このときの議論に詳しい共和党のベテラン選挙参謀は語っている。

トランプ前大統領の選挙集会で登壇したケネディJr.

トランプ前大統領の選挙集会で登壇したケネディJr.(8月23日、アリゾナ州) GO NAKAMURA-REUTERS

劇的な演出に終始する

バンスは副大統領候補としてまれに見るほど人気がなく、本選の頭痛のタネになりそうだ。過去の結果を気にしないという意味では、トランプJr.は2022年のアリゾナ州知事選で敗れたカリ・レイクを11月のアリゾナ州上院議員選で再支持している。同州では大統領選の支持率はほぼ互角だが、上院選はレイクが民主党候補に大差をつけられている。

こうしたことから、ケネディJr.に関するトランプJr.の戦略の弱点が見えてくる。要は、戦略はないに等しい。

前大統領は共和党の従来からの献金者やアドバイザーと頻繁に交流しており、彼らは浮動票にアピールするという名目で、トランプに特定の社会規範や譲歩をのませるときもある。一方、トランプJr.は単なるドーパミン中毒で、集会やオンラインの崇拝と熱狂を大きなうねりにしようと目を光らせている。

このような支持基盤の醸成が、2016年の予想外の勝利を決定づけたことは事実だ。トランプJr.は当時、ネット上のオルト・ライト(新右翼)に対して父親の代理人を務めていたが、彼らの要求と好みは大半が厄介なものだった。

トランプとトランプJr.の下、共和党は直近の3回の選挙で劣勢に立たされた。最も熱心な支持者の間でバズるアイデアが、一般の選挙で最も役に立つとは限らない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB、域外中銀向け流動性供給制度の拡充検討 ユー

ワールド

英首相、前駐米大使を激しく非難 米富豪事件で被害者

ビジネス

実質消費支出、12月は前年比-2.6% 2カ月ぶり

ワールド

ベネズエラ、年内に選挙実施可能=野党指導者マチャド
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 2
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 5
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 6
    「反トランプの顔ぶれ」にMAGAが怒り心頭...グリーン…
  • 7
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 8
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 9
    「エプスタインは悪そのもの」「悪夢を見たほど」──…
  • 10
    関税を振り回すトランプのオウンゴール...インドとEU…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中