最新記事
自民党総裁選

派閥解消後の自民党総裁選、勝者が直面する「有事」の現実とは?

JAPAN’S BIG POLITICAL REALIGNMENT

2024年9月5日(木)15時40分
トバイアス・ハリス(ジャパン・フォーサイト創業者、日本政治研究者)

newsweekjp_20240904013727.jpg

河野太郎デジタル相 ISSEI KATO-REUTERS

政治資金規正法をどのように改革するか。政治資金の問題を超えて、もっと幅広い政治改革が必要なのかどうか。これらの点に関し、自民党議員の間で意見が割れていることは既に明らかだ。それだけではない。夫婦別姓や同性婚の可否といった社会・文化的な問題、気候変動・エネルギー政策(とりわけ原子力発電の将来)、アベノミクス後の日本の財政・金融政策などについても、相当な意見の隔たりがある。

財政について言えば、日銀による金利引き上げの是非、米ドルなどの主要通貨に対する円の適切な水準はどうあるべきか、金利上昇局面では短期的に財政規律を優先させるべきか、それとも大幅な財政赤字を今後も容認して成長を加速し、防衛費をGDPの2%に引き上げるなどの目標達成に突き進むか。


いずれも、決して小さな問題ではない。どれも日本が熾烈な国際経済競争に勝って繁栄を守り、急速に悪化する東アジアの安全保障環境にあって日本の安全を確保していく上で無視できない問題だ。

誰が総裁となるにせよ、党内にはこれらの重要課題について異なる見解を持つライバルが大勢いる。しかし党内の結束を維持できないようでは、党に対する国民の信頼を取り戻すことなど不可能だろう。

新総裁を待つ「毒まんじゅう」

自民党に対する国民の信頼を回復すべく有権者との対話を進めること。党内の亀裂を修復して自民党が効果的な政権運営を行えるようにすること。どちらの課題も、いま総裁選に名乗りを上げている人たちの手に余るかもしれない。

党内主流派の誰か(茂木敏充や上川陽子など)が選ばれれば党内の緊張を緩和できるかもしれないが、自民党の根本的な変化を国民に実感させることは難しい。国民的人気のある誰か(石破か小泉)が勝てば自民党の信頼回復にはつながりそうだが、党内からの反発は強いだろう。そうなると党を制御し切れず、効果的な政権運営は難しくなる。

現時点で最も勝ち目があるのは小泉だろう。国民へのアピール力があるし、菅義偉前首相のような党長老や同僚議員との関係もいい。とはいえ、若さと相対的な経験不足ゆえに苦戦する可能性はある。総裁選で負けた面々はいずれも潜在的なライバルであり、小泉が未熟さを露呈するのを待っているはずだ。

もちろん、そうした足の引っ張り合いは誰が勝ってもあり得る。だから今回の総裁選を経て誕生した首相が強固な信任を得て、安定した政権を築ける保証はどこにもない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

パウエル氏「FRBの独立性揺らがず」、後任に政治へ

ビジネス

ブラジル中銀、政策金利15%に据え置き 3月の利下

ワールド

米FBIがジョージア州選管事務所を捜索、20年大統

ビジネス

テスラ、xAIに20億ドル出資へ サイバーキャブ生
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 4
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 5
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 6
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 7
    人民解放軍を弱体化させてでも...習近平が軍幹部を立…
  • 8
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 9
    またTACOった...トランプのグリーンランド武力併合案…
  • 10
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 9
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 10
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中