最新記事
ペット

「涙が止まらない!」子犬パコが老人ホームで巻き起こす「奇跡」

Moment Retirement Home Residents 'Light Up' as Tiny Dog Pays Surprise Visit

2024年7月24日(水)17時00分
ジャック・ベレスフォード
(写真はイメージです) David Vives-Unsplash

(写真はイメージです) David Vives-Unsplash

<子犬パコの訪問により、老人ホームの入居者たちが心を開き始めた>

老人ホームをサプライズ訪問した小さな子犬が入居者に抱っこされて笑顔にさせ、それ以上に大切な効果をもたらした。

【動画】子犬パコの癒し効果炸裂!老人ホームに現れた小さなヒーロー

パキート・バレンティノ、愛称パコはわずか数週間前、イギリスのマーシーサイドに住むリディア・ブレナンとルームメイトのケイシーの飼い犬になったばかり。しかしこれが最高の出会いになった。

「2人とも犬好きだけれど、その時は飼う予定はなかった」とブレナンは本誌に語った。「ネットでただ何となくいろんな子犬を見ていたら、パコの写真が目に入って、2人ともたちまち心を奪われた」

これは自分たちの子だと直感したというブレナンは、すぐに保証金を支払ってこの犬を確保した。まだ生後13週間のパコが新しい環境に馴染むのに時間はかからなかった。

「この子が一番好きなのは人間。いつも人のそばにいたがって、抱っこされたり引っ張り合いをしたりほかの犬たちと遊んだりするのが大好き。たくさんの服も気に入り始めている。帽子やバンダナ、動物の着ぐるみ、セーターなど衣装のコレクションは幅広い」とブレナンは話す。

動画には「涙が出た」とのコメントも

ブレナンが@paquitovalentinoのアカウントからTikTokに投稿した動画には、パコの人間好きがはっきり表れている。サウスマンチェスターの老人ホームをパコがサプライズ訪問した時の様子を撮影したこの動画に、「涙が出た」というコメントもあった。

ブレナンは言う。「ケイシーはそのホームで介護士をしていて、入居者にパコのことを話したところ、みんなが会いたがった。私はその日、この犬と一緒に家にいたので、連れて行ってみんなに抱っこしてもらったら喜んでもらえるだろうと思った」

パコは到着するとすぐ入居者に挨拶しに行き、大喜びで新しい環境を受け入れたという。「たくさんの部屋へ行って入居者に抱っこされ、談話室でみんなと数時間過ごした。庭の散歩にも出かけてあとはずっとそこで過ごし、入居者の世話をする介護士を手伝った」(ブレナン)

訪問だけでも可愛らしさは十分だったが、小さなパコの挨拶にはそれ以上に大きな意味があった。

引退した高齢者は寂しい思いをすることもある。カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者が高齢者1604人を対象に実施した調査では、43%が日常生活の中で孤独を感じると回答した。

これには懸念もある。同じ調査によると、孤独は健康状態悪化のリスクを59%増大させ、死亡リスクを45%増大させる。パコのような犬は、私たちの心の健康増進に役立つことが実証されている。

学術誌アニマルズに発表された2019年の研究では、試験のストレスを感じている学生を対象として、一部のグループに一定時間、犬と接してもらった。

この実験の前後にはアンケートに回答してもらい、全般的な気分を診断した。その結果、犬と触れ合った被検者は不安が和らぎ、全般的に気分が高まっていることが分かった。

パコの訪問で「開かれた心」

ブレナンはパコが老人ホームの入居者に与える影響を目の当たりにした。「みんな大喜びだった。喜びで顔を輝かせる様子は素晴らしかった」。しかしそれだけではなかった。パコのおかげで入居者が心を開いてくれた。

「家族の結婚の写真や亡くなった夫の写真を私に見せてくれた入居者もいた」とブレナンは話す。「パコはまるでセラピー犬だった。この子を抱っこしていると、心を開いてもいいと思える。私たち全員にとって本当に素晴らしい経験だった」

パコの訪問は当初、1回だけの予定だったが、最初の訪問が大好評だったことから予定が変わった。「また一緒に来てほしいとみんなから頼まれたので、定期的に訪問することになった。この子の成長を見てもらえるように」とブレナンは話している。

(翻訳:鈴木聖子)

ニューズウィーク日本版 日本人と参政党
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月21日号(10月15日発売)は「日本人と参政党」特集。怒れる日本が生んだ参政党現象の源泉にルポで迫る。[PLUS]神谷宗幣インタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

テスラ・ネットフリックス決算やCPIに注目=今週の

ワールド

米財務長官、中国副首相とマレーシアで会談へ

ワールド

全米で反トランプ氏デモ、「王はいらない」 数百万人

ビジネス

アングル:中国の飲食店がシンガポールに殺到、海外展
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心呼ばない訳
  • 4
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 8
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中