最新記事
ロシア

甲羅を背負ってるみたい...ロシア軍「カメ型」戦車がウクライナの前線で目撃される...謎の新兵器の正体は?

Russia's bizarre "turtle tank" becomes target of jokes, memes

2024年4月13日(土)15時25分
エリー・クック
ロシアの主力戦車T-72

ウクライナ南部で破壊されたロシアのT-72戦車(2022年10月) Valentyn Ogirenko-Reuters

<ウクライナの自爆ドローン攻撃などにより、すでに約3000両の戦車を失ったとされるロシア軍は様々な兵器に「鳥かご装甲」を施している>

ロシア軍は、ウクライナ軍による執拗な自爆ドローン攻撃から自軍の戦車を守るため、一風変わった改造を施したようだ。インターネット上に出回っている動画からは、ロシア軍がウクライナの前線に展開する戦車を「カメの甲羅」のような金属性の構造物で覆い始めたことが見て取れる。

■【動画】新型兵器? ロシア軍、異形の「カメ型」戦車を最前線に配備 「ダース・ベイダーのヘルメットみたい」

ドローンによって撮影されたある動画には、カメの甲羅のような装甲で覆われたロシア軍の戦車らしきもの1両が、ドネツク州の集落クラスノホリフカ周辺を走行する様子が映っている。クラスノホリフカはウクライナ東部の前線にある集落で、ロシア軍が占領する(ドネツク州の州都)ドネツク市の西に位置している。

動画には「甲羅」のない戦車数台を率いて先頭を走る戦車の主砲の一部を覆っている金属製の殻が映っているように見える。ロシアのある軍事ブロガーは4月8日、動画に映っているのはロシア軍のT-72戦車だと述べた。

この動画が公開されると、インターネット上で大きな注目を集め、問題の戦車には冗談めかして「カメ戦車」や「ロシア軍の忍者カメ戦車」などの異名がつけられた。

ロシア軍はウクライナへの軍事侵攻を開始して以降、多くの戦車を失っている。英シンクタンク「国際戦略研究所」が今年に入ってから発表した推計によれば、ロシア軍が2022年2月以降に失った戦車の数は約3000両にのぼる。

「鳥かご装甲」と揶揄されている

戦車に施された追加装甲の写真に、ソーシャルメディアユーザーたちも困惑気味に反応。中世の包囲攻撃用兵器の画像や、ダース・ベイダーのヘルメットの画像を投稿した。

「カメの甲羅」は新たな設計だが、前例はある。ロシアはこれまでも、ウクライナ軍による攻撃から身を守るために、戦車に即席の装甲を取りつけてきた。ロシア軍のロケットランチャーにルーフスクリーンが取りつけられた例もある。

複数の報道によれば、ロシア軍は3月、海軍の艦船にも初めてこの戦術を導入した。

一連の追加装備は戦車などの貴重な軍事資産を狙った攻撃の衝撃を和らげるように設計されており、「コープケージ(鳥かご装甲)」と揶揄されている。

ウクライナ軍はロシア軍の戦車を重点的に狙って攻撃し、その破壊を成功させている。ウクライナ軍は大量のFPV(一人称視点)ドローンを投入してさまざまな標的を攻撃しており、自爆型のFPVドローンがロシア軍の装甲車に突っ込んでいく様子を捉えたとする動画を頻繁に公開している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏「原発周辺への攻撃」を非難、ウクライナ原

ワールド

西側との対立、冷戦でなく「激しい」戦い ロシア外務

ワールド

スウェーデン首相、ウクライナ大統領と戦闘機供与巡り

ワールド

プーチン氏、ロは「張り子の虎」に反発 欧州が挑発な
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    AI就職氷河期が米Z世代を直撃している
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    琥珀に閉じ込められた「昆虫の化石」を大量発見...1…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中