最新記事
米中対立

ヤバすぎる中国軍機の「あおり飛行」...信じがたいほど危険な「異常行動」の瞬間の映像を公開

Pentagon Images Show Chinese Air Force's Dangerous Air Intercepts

2023年10月21日(土)18時15分
ミカ・マッカートニー
中国空軍の戦闘機

中国空軍の戦闘機(2019年11月) China Daily via REUTERS

<昨年1月から繰り返されている中国軍機の「危険行為」が、米中に「誤解」を生むことになりかねないと警告>

国際空域で、他国の軍用機に対する挑発的な行為を繰り返している中国軍機。その「あおり飛行」が、どれだけ危険で異常なものなのか、その実態をはっきり示す映像が米国防総省によって公開された。

■【動画】目の前を横切る、翼が触れそうなほど「異常」に接近...中国軍機の危険すぎる飛行の瞬間

10月17日に公開された一連の写真と映像は、2022年1月以降の約2年間に中国軍機が東シナ海と南シナ海上空の国際空域で危険な飛行を行った15件の事例を撮影したものだ。

この中には、中国軍のジェット戦闘機が米軍機の翼に異常接近した事例(15メートル未満に接近したこともあった)も含まれている。中国軍機のパイロットらはこのほかにも、「フレア」と呼ばれるおとり用の照明弾を発射したり、わざと目の前を飛行して米軍機が回避行動を取らざるを得なくしたり、米軍機の近くを高速で通過して乱気流を巻き起こしたりするなどの危険行為を行ったということだ。

一連の写真と映像は、米国防総省が議会に提出する、中国の軍事力に関する年次報告書の公表を控えたタイミングで公開された。米国防総省は声明の中で、「国際社会のメンバーに対して、国際法上の権利を放棄するよう脅迫・強制することが中国の狙い」だと指摘した。

ロイド・オースティン米国防長官はシンガポールで開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で中国の魏鳳和前国防相と行った会談の中でも、この問題について取り上げていた。

魏鳳和の後任として国防相に就任した李尚福もシャングリラ・ダイアローグに出席したが、アメリカが2018年に李を制裁対象としたことを理由に、オースティンとの会談を拒否した。李はもう1カ月以上にわたって動静が途絶えており、近いうちに新たな国防相が正式に任命される可能性が高いとみられている。

スパイ気球についても米国からの連絡を無視

オースティンは、「中国は国際空域を合法的に飛行しているアメリカや同盟諸国の航空機に対して、何度も危険な妨害行為を行っている」と主張。中国に対して、アメリカは「嫌がらせや強制にひるむことはない」と警告した。

オースティンは中国の国防当局者らに対して、双方の間で誤解が生じるのを避けるために対話を維持すべきだと呼びかけている。米国防総省は、2月にアメリカが中国のスパイ気球とみられるものを撃墜した後、中国側に接触を試みたものの無視されたことに懸念を表明していた。

今回の写真・映像の機密解除に先立つ16日には、カナダ軍の偵察機が中国軍の戦闘機から妨害行為を受けたと発表していた。中国軍機はフレアを発射し、またカナダ軍機から6メートル以内のところを飛行したという。

中国は東シナ海で日本と、南シナ海では複数の近隣諸国と領有権争いを繰り広げている。また中国海警局の船舶は定期的にフィリピン沿岸警備隊の艦船とフィリピン沿岸警備隊の船舶の間でも定期的に揉め事が発生しており、フィリピン側はこうした事例の撮影を始めている。

本誌は一連の問題について米国防総省と中国外務省にコメントを求めたが、返答はなかった。


ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


食と健康
「60代でも働き盛り」 社員の健康に資する常備型社食サービス、利用拡大を支えるのは「シニア世代の活躍」
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金与正氏、日米韓の軍事訓練けん制 対抗措置

ワールド

ネパール、暫定首相にカルキ元最高裁長官 来年3月総

ワールド

ルイジアナ州に州兵1000人派遣か、国防総省が計画

ワールド

中国軍、南シナ海巡りフィリピンけん制 日米比が合同
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 5
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    悪夢の光景、よりによって...眠る赤ちゃんの体を這う…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 8
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中