最新記事
ロシア

ロシア軍が戦場に乗り捨てた軍用車の「異形」...後ろ半分は「まるで日曜大工」のお粗末さで、地雷原に沈む

Russia's DIY Vehicles Torn to Pieces After Failed Advance

2023年10月13日(金)17時36分
ブレンダン・コール
ロシアのMT-LB装甲車

演習に参加したロシアのMT-LB装甲車(2021年12月) Sergey Pivovarov-Reuters

<ドネツク州でウクライナ軍に攻撃を仕掛けたロシア軍だったが、「手作り感」溢れる軍用車は地雷で破壊され、撤退していったという>

10月10日、ドネツク州南部でロシア軍がウクライナ軍に攻撃を仕掛けるもあえなく撤退したのだが、そこに残されたものが話題となっている。ロシア軍部隊が置き去りにしていったのは、まるで「日曜大工」のような手作り感が溢れる軍用車両。前半分は見るからに頑丈な装甲車なのだが、後ろ半分は薄い板や簡素な棒で「DIY」されたような、継ぎはぎの異様な姿だったのだ。

■【写真】戦場に残されたロシア軍装甲車の「異形」...後ろ半分は薄い板だけの「DIY」な姿

ウクライナ軍参謀本部によれば、ロシア軍の第39独立自動車化狙撃旅団がこの日、ウクライナ東部ドネツク州南部のノボミハイリフカに対して攻撃を仕掛けた。

ウクライナにおける軍事物資の使用・捕獲を追跡しているX(旧ツイッター)アカウントの「ウクライナ・ウェポンズ・トラッカー」は、この攻撃が失敗に終わった後、ロシア軍はMT-LB装甲けん引車をベースにした即席の人員運搬車とみられるものを置き去りにしていったと報告した。

車両はいずれも、「対戦車地雷の上を走行して破損」していたという。ロシア軍兵士1人の遺体も、現場に残されていた。

MT-LBはソビエト時代に開発された水陸両用の装甲けん引車で、1970年代から使用されている。戦争中の兵器類の損失を集計するオランダのオープンソース調査会社Oryxによれば、ロシアはウクライナとの戦争が始まって以降、486台のMT-LBを失っている。

周囲を確認しやすいよう「改造」を施したか

ウクライナ・ウェポンズ・トラッカーの投稿には、置き去りにされたMT-LBの画像が添付されていた。米フォーブス誌によればこれらの車両には23ミリ機関砲が後付けで搭載されており、兵員室は天井部分が取り外し可能なため、砲弾や爆発物を搭載したドローンによる直接攻撃の影響を受けやすい。

メッセージアプリ「テレグラム」のあるロシア人ユーザーは4月に行った投稿の中で、一連の改造は、兵士たちがMT-LBで移動中に立ち上がって周囲を確認できるようにするためだと説明。「装甲車の後ろに乗っている歩兵たちは状況確認を行っている」と述べ、また一連の改造は「(装甲車からの)脱出や弾薬の積み込みをしやすくする」ためのものだと指摘した。

本誌はこの件についてロシア国防省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。

ウクライナ軍は国内南部の幅広い地域で、ロシア軍による占領地域を奪還すべく反転攻勢を続けている。一方のロシア軍の各種連隊や旅団もまた、ドネツク州北部のアウディーイウカ周辺に攻撃を仕掛けている。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アルミに供給不安、アフリカ製錬所が来年操業休止 欧

ビジネス

川崎重社長、防衛事業の売上高見通し上振れ 高市政権

ワールド

インド中銀総裁「低金利は長期間続く」=FT

ビジネス

シャドーバンキング、世界金融資産の51% 従来型の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中