最新記事
チェチェン

プーチンの「右腕」、チェチェンの独裁者カディロフも死んだ?

Has Ramzan Kadyrov died? What we know, what we don't

2023年9月19日(火)14時03分
ブレンダン・コール

2019年にアラブ首長国連邦を訪ねたときのカディロフ REUTERS/Christopher Pike

<病気説を払しょくするためか週末には本人のテレグラムチャンネルに「運動を奨励」する動画が投稿されたが真相は不明のまま>

【動画】統制は取れているのか? RPGのバックブラストが直撃して倒れるチェチェン人兵士

ロシア南部チェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長の健康状態をめぐってはさまざまな憶測が飛び交っており、重病説や死亡説も報じられている。

ロシアのウラジーミル・プーチンに絶対的な忠誠を誓うカディロフは、2007年からイスラム教徒が多数派を占めるチェチェン共和国の首長を務めている。圧政で知られ、複数の国際団体から人権侵害や弾圧を行っていると非難されている。

カディロフの配下にあるチェチェンの特殊部隊は、ウクライナでの戦争でロシアのために戦い、重要な役割を果たしている。だがカディロフ本人は、プーチンの名前こそ出さないものの、ウクライナ侵攻を頻繁に批判してきた。

こうしたなか、ウクライナ国防省情報総局のアンドレイ・ユソフ報道官が先週、ベラルーシのニュースサイト「Nexta(ネクスタ)」に対して、カディロフが「しばらく前から」「全身性の健康問題」を抱え体調不良だと述べたことをきっかけに、その健康状態についてさまざまな噂が囁かれるようになった。

ウクライナのニュースサイト「Obozrevatel(オボズレバテル)」は、カディロフが昏睡状態に陥って、治療のためロシアの首都モスクワに搬送されたと報道。9月18日には、カディロフが腎臓移植を受けて「重体」だと報じた。

「主治医に毒を盛られた説」も

9月上旬には、ロシアの治安情報に詳しいテレグラムチャンネル「VChK-OGPU」がロシア治安当局の内部情報として、カディロフは主治医に毒を盛られたと考えていると主張した(同サイトはこの主張について証拠を提示していない)。

同チャンネルによれば、健康状態が突然悪化したことについて、カディロフは主治医のエルハン・スレイマノフが自分に毒を盛ったと糾弾。複数の情報筋の話として、スレイマノフはその後「生き埋めにされた」可能性もあると伝えたが、証拠は何もない。

ウクライナ内務省のアントン・ゲラシチェンコ顧問は9月17日、X(旧ツイッター)への投稿の中で、カディロフが「既に死亡している」と言う者もいれば、彼が「重篤な腎不全か毒を盛られたことにより」昏睡状態に陥っていると考える者もいると述べた。

このほかにも、カディロフが死亡したとする未確認の報道が複数ある。

チェチェンの人権活動家アブバカル・ヤングルバエフは17日、自身のテレグラムチャンネルに「カディロフが死亡した」と投稿したものの、それ以上の情報は提示しなかった。

22万4000人超の登録者を持つあるロシア語のテレグラムチャンネルは17日、カディロフが週末に死亡したと投稿。ウクライナの報道機関も同日、カディロフが16日夜に死亡したと報じたが、それを裏づける証拠は示さなかった。

 

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、台湾への武器売却承認 ハイマースなど過去最大の

ビジネス

今回会合での日銀利上げの可能性、高いと考えている=

ワールド

中国、「ベネズエラへの一方的圧力に反対」 外相が電

ワールド

中国、海南島で自由貿易実験開始 中堅国並み1130
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中