ミャンマー「泥沼の国内闘争」が世界のリスクに...日本企業にも打撃
NO END IN SIGHT
ミャンマー軍の兵士、2021年2月 REUTERS/Stringer TPX IMAGES OF THE DAY
<膠着化した内戦で軍は中ロへ接近、東南アジアの不安定化を助長しつつある。本誌「『次のウクライナ』を読む 世界の火薬庫」特集より>
2021年2月1日にクーデターが勃発してから2年半近く、今もミャンマーの政治情勢は安定しない。今年2月1日には、国軍最高司令官であるミンアウンフライン将軍が非常事態宣言を再度延長して、国軍の直接統治の継続を決定した。
最大都市ヤンゴンのような都市部は国軍の実効支配の下にあり、次第に新型コロナ禍前の喧騒を取り戻しつつある。その一方で中央平野の北西部や、少数民族が多く暮らす北部、南東部では、国軍とその支配に抵抗する勢力との間で武力衝突が続いている。今その抵抗の中心に、かつてこの国の民主化運動を率い、非暴力主義でノーベル平和賞を受賞したアウンサンスーチーはいない。彼女は国軍に拘束されたままだ。ミャンマーという国家の正統性をめぐって、国軍と新しい抵抗勢力が真っ向から対立しているのである。
国軍はクーデター以来、アウンサンスーチー政権の選挙不正や腐敗の追及を続けてきた。3月には与党である国民民主連盟(NLD)が政党としての法的地位を失った。国軍は新たに再選挙を実施して、自身にとって都合のよい親軍政権を打ち立てたいもようだ。
ところが、クーデターへの市民の抵抗がやまない。やまないどころか、平和的な抵抗から武力闘争路線へと急進化した。対して国軍は各地で弾圧を強化し、その弾圧に巻き込まれた民間人犠牲者の数は今や3700人を超えている。今年の4月にはザガイン地域の村を国軍の戦闘機が攻撃して約170人が犠牲になった。こうした残虐な弾圧は内外からの反発を生むばかりで、国軍が目指す政治的安定は簡単には訪れそうにない。
国軍に対する抵抗は複数の勢力が緩やかな連合を組むことで進んでいる。具体的には、NLDの中堅幹部が中心となって設立した国民統一政府(NUG)、次に、クーデターへの武力闘争に参加している若者たち、そして、長く国境地域で国軍に抵抗をしてきた少数民族武装勢力の一部である。これら抵抗勢力は、国軍の部隊にゲリラ戦を仕掛けることで打撃を与え、中央平野北西部の農村部に実効支配地域をつくり上げた。さらに自らを正統な政権であると主張し、国軍をテロリストと呼んで革命を目指している。しかし、軍事力が不足しているため、国軍に勝利することは外部からの武器支援がない限り困難だろう。
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