最新記事
ロシア

ロシアでプリゴジン「人気」が急上昇、プーチンの倍に──「命が危ないレベル」と識者

Putin is no longer the most popular person in Russia—Internet searches show

2023年6月15日(木)15時16分
イザベル・ファン・ブリューゲン

ショイグ国防相とロシア軍トップのゲラシモフを名指しで批判するプリゴジン(5月5日、バフムト) The Times and The Sunday Times/YouTube

<ロシア政府とロシア軍を声高に批判した5月、ワグネルの創設者プリゴジンに対するロシア人の関心は急上昇。インターネットでの検索回数はプーチンの2倍を超えた>

ウラジーミル・プーチン大統領はもはや、ロシアで最も人気のある人物ではないようだ。ロシア人が5月にインターネット上で検索した人物を調べたところ、プーチンよりも民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジンの検索回数が、プーチンの検索回数の2倍にのぼったことが分かった。

<動画>弱いロシア軍に不満?プーチンが露骨にショイグをシカトする衝撃映像

ロシアの独立系メディア「Verstka」によると、プリゴジンとロシア国防省の確執がエスカレートした5月は、ロシアの指導者であるプーチンよりも、傭兵を率いるプリゴジンに関する検索のほうがはるかに多かった。

クレムリン御用達のケータリング会社を経営することから「プーチンのシェフ」とも呼ばれるプリゴジンは、何カ月も前から、激しい戦闘が続くウクライナ東部の要衝バフムトにワグネルの戦闘員を投入し、多くの犠牲を出しながら戦果を上げてきた。

一方でセルゲイ・ショイグ国防相やロシア軍のバレリー・ゲラシモフ参謀総長を声高に批判し、ロシア政府との関係が悪化した。

ロシア政府と軍を批判

プリゴジンは5月5日、バフムトで戦死したとする戦闘員らの遺体の前に立ち、ロシア国防省を猛烈に批判する動画をインターネットに投稿した。さらにその数時間後には、プーチンに直接、弾薬の供給を呼びかけた。プリゴジンはそれまでにも弾薬の供給不足や戦闘員の死について不満を表明していたが、批判の対象はショイグやゲラシモフで、プーチンを直接批判したのはこれが初めてだった。

さらにプリゴジンは、ロシアが第2次世界大戦でドイツに勝利したことを祝う5月9日の戦勝記念日にも弾薬不足について不満を表明。新たな動画の中でプリゴジンは、弾薬は依然として供給されないのに、ロシア政府からは、ワグネルがバフムトから撤退したら国家に対する反逆と見なすと脅されたと述べた。

そしてプリゴジンは5月25日に公開した動画の中で、ワグネルが掌握したバフムト市街地から撤収を開始したと明らかにした。

これに対してロシア政府は、これまで直接の管轄下にはなかったワグネルなどの志願兵部隊に国防省と契約を交わすよう命じ、ロシア軍の指揮下に入れようとしている。だがプリゴジンは契約を拒否している。

投資
「FXで長期投資」という投資の新たな選択肢 トライオートFX「世界通貨セレクト」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

IMF専務理事「貿易を成長の原動力に」、世界経済は

ワールド

中国で「独身の日」セール本格化、消費喚起へ最大5週

ビジネス

米10月住宅建設業者指数37に上昇、4月以来の高水

ワールド

米の対中制限措置、貿易関係悪化の主因=王商務相
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体は?
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 8
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 9
    ホワイトカラーの62%が「ブルーカラーに転職」を検討…
  • 10
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 1
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中