最新記事
ロシア

「プーチン独裁に終止符を」...自由ロシア軍団による「ベルゴロド反乱」は、ロシア情勢の転換点か

Pillaging Inside Russia as Defectors Claim to Have Taken 'Trophy Equipment'

2023年5月26日(金)17時19分
イザベル・ファン・ブリューゲン
自由ロシア軍団

ウクライナ東部ドネツク州でウクライナ軍とともに戦う自由ロシア軍団の戦闘員たち(2023年3月) Alex Babenko-Reuters

<「ロシアをプーチン主義から解放する」ことを目指し、ウクライナ軍とともに戦う自由ロシア軍団が、ロシア・ベルゴロド州への攻撃を実行した>

ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州で、ロシア政府機関の現地本部などが襲撃され、ロシア治安部隊と戦闘になったという情報がもたらされたのは5月22日のこと。これについて「反プーチン」を掲げるロシア人組織「自由ロシア軍団」の政治代表者を名乗るイリヤ・ポノマリョフが本誌の取材に応じ、自分たちの襲撃によってロシア軍から「戦利品」を奪取したと語った。同氏は、ウクライナに亡命したロシアの元国会議員だ。

■【動画】ロシア治安部隊と自由ロシア軍団の戦闘の様子...ベルゴロド攻撃の「戦利品」

「自由ロシア軍団は、多数の戦利品を手にした」。そう話すポノマリョフは、2014年に、ロシア政府によるクリミア併合に反対した唯一の国会議員だ。現在の拠点であるキーウで、本誌の取材に応じた。

自由ロシア軍団は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから数週間後の2022年3月に結成された。所属するのは、ロシア軍からの離反者のほか、ロシア人やベラルーシ人の志願兵だ。

自由ロシア軍団は5月22日、同じく反プーチン派の「ロシア義勇軍団」とともに、ベルゴロド州への越境攻撃を実行。コジンカを制圧したほか、小さな町グライボロンにも部隊が入ったと主張している。

ロシア主力の装甲兵員輸送車4台を奪取

ポノマリョフによると、自由ロシア軍団はこれまでに、ロシア主力の装甲兵員輸送車「BTR-82A」を4台奪取した。BTR-82Aは、ロシア軍事産業会社(Military Industrial Company of Russia)が製造した輸送車で、ロシア、カザフスタン、ウズベキスタン、アゼルバイジャン、ベラルーシの各国軍で使用されている。

ポノマリョフは、自由ロシア軍団の兵士は現在、ベルゴロド州で「塹壕を掘っている」と述べ、同州で布陣を固めていることを示唆した。さらに自由ロシア軍団は、「ロシアをプーチン主義から解放する」ことを目指していると述べた。同軍団は2023年3月、ロシア最高裁によって「テロ組織」に指定されている。

今後もロシア国内のほかの都市や州に侵入するつもりなのかと尋ねると、ポノマリョフは「状況を見守っていく。現時点では、ロシア全体を解放できるほどの兵力はない」と答えた。現時点で自由ロシア軍団に所属する兵士数は明らかになっていない。

ベルゴロド州への越境が報じられる直前、自由ロシア軍団は、ソーシャルメディアのチャンネルに動画を投稿している。その中で彼らは、ウラジーミル・プーチン大統領による「ロシアの独裁」に終止符を打とうと呼びかけた。

食と健康
「60代でも働き盛り」 社員の健康に資する常備型社食サービス、利用拡大を支えるのは「シニア世代の活躍」
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米軍、ベネズエラからの麻薬密売船攻撃 3人殺害=ト

ビジネス

米アルファベット、時価総額が初の3兆ドル突破 AI

ビジネス

株式と債券の相関性低下、政府債務増大懸念高まる=B

ビジネス

米国株式市場=ナスダック連日最高値、アルファベット
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中