最新記事

ロシア

ロシア西部州、反体制派が内務省や連邦保安局を攻撃か 知事「ウクライナの破壊工作集団」

2023年5月23日(火)12時04分
ロシア国旗と兵士

ウクライナ国境に近いロシア西部ベルゴロド州のグラトコフ知事は22日、ウクライナの「破壊工作集団」がロシア領内に侵入したが、ロシア軍がこれを退けているとした。2022年8月撮影(2023年 ロイター/Alexander Ermochenko)

ロシア西部ベルゴロド州のグラトコフ知事は22日、ウクライナの「破壊工作集団」がロシア領内となる国境の地区グライボロンに侵入したが、ロシア軍がこれを退けているとした。

ソーシャルメディアでは主要な町が深夜0時を過ぎた時間に攻撃されたという情報が出ている。一部チャンネルによると、内務省やロシア連邦保安局(FSB)の現地本部が狙われた。

一方、ウクライナ国内メディアは軍情報機関の話として、ロシアの反体制派である「自由ロシア軍団」と「ロシア義勇軍団」による攻撃だったと報じた。

また、ウクライナのポドリャク大統領顧問はツイッターへの投稿で「ロシアのベルゴロド地方での出来事を注視し状況を検証しているが、ウクライナは無関係だ」とした。

自由ロシア軍団は反体制派イリヤ・ポノマレフ氏率いるウクライナ拠点のロシア民兵組織で、プーチン政権打倒のためにロシア国内で活動しているという。ツイッターで、国境の町コジンカを「完全解放」し、前方部隊はさらに東のグライボロン地区中心部に到達したとしており、「前進している。ロシアは自由になる!」と投稿した。

グラトコフ知事は「テロ対応体制」を敷き、当局が人々の移動・通信を取り締まる権限を強化。深夜のテレグラム投稿で、ボリソフカとグライボロンの2つの町では別々の攻撃で家屋や行政庁舎が被害を受けたと明らかにした。

ロシアの軍事活動を監視するテレグラム・チャンネルによると、主要な町ベルゴロドでは内務省やFSBが入る建物が攻撃を受けた。

グラトコフ氏は、ベルゴロドへの攻撃情報に触れていない。

ロイターは独自に状況を確認することができなかった。

これに先立ち、ロシア治安当局と関連するテレグラム・チャンネル「バザ」は、ウクライナの装甲車がグライボロン国境検問所に侵入する様子を映したとされる空撮映像を公開した。

ロシア大統領府(クレムリン)のペスコフ報道官は、プーチン大統領はこの件について報告を受けたとし、「妨害者」を追い出す作業が進められていると述べた。RIAノーボスチ通信が報じた。

今回の侵入について、ロシア軍が完全制圧したとするウクライナ東部の要衝バフムトから注意をそらすことが目的だと指摘。「バフムトの喪失がウクライナ側に与える政治的影響を最小化しようとするこのような陽動作戦の目的をわれわれは完全に理解している」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ソニーのブラビアが30%オフ【アマゾン タイムセール(9月26日)】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=大幅反落、金利の高止まり嫌気

ワールド

アゼル大統領、一段の軍事行動ないと確約 米国務長官

ビジネス

NY外為市場=円下落、介入ラインの150円台に迫る

ワールド

原油価格1%高、供給逼迫との見方

今、あなたにオススメ

MAGAZINE

特集:日本化する中国経済

特集:日本化する中国経済

2023年10月 3日号(9/26発売)

バブル崩壊危機/デフレ/通貨安/若者の超氷河期......。失速する中国経済が世界に不況の火種をまき散らす

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1

    「可愛すぎる」「飼いたくなった」飼い主を探して家中さまよう子ヤギ、その必死さにネット悶絶

  • 2

    西日本最大級のグルメイベント「全肉祭」 徳島県徳島市にて10/20~10/22に第4回開催決定!

  • 3

    中国高官がまた1人忽然と消えた...中国共産党内で何が起きているのか?

  • 4

    中央アジアでうごめく「ロシア後」の地政学

  • 5

    「中流階級」が50%以下になったアメリカ...縮小する…

  • 6

    ゼレンスキー、念願の最強戦車「エイブラムス」がウ…

  • 7

    横暴中国、バリアーを張って南シナ海のフィリピン漁…

  • 8

    これぞ「王室離脱」の結果...米NYで大歓迎された英ウ…

  • 9

    「映画化すべき!」 たった1人のロシア兵が、ウクラ…

  • 10

    「ケイト効果」は年間1480億円以上...キャサリン妃の…

  • 1

    マイクロプラスチック摂取の悪影響、マウス実験で脳への蓄積と「異常行動」が観察される

  • 2

    常識破りのイーロン・マスク、テスラ「ギガキャスト」に「砂」活用し他社引き離す

  • 3

    最新兵器が飛び交う現代の戦場でも「恐怖」は健在...「スナイパー」がロシア兵を撃ち倒す瞬間とされる動画

  • 4

    これぞ「王室離脱」の結果...米NYで大歓迎された英ウ…

  • 5

    「ケイト効果」は年間1480億円以上...キャサリン妃の…

  • 6

    中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗…

  • 7

    J.クルーのサイトをダウンさせた...「メーガン妃ファ…

  • 8

    ロシアに裏切られたもう一つの旧ソ連国アルメニア、…

  • 9

    「この国の恥だ!」 インドで暴徒が女性を裸にし、街…

  • 10

    「クレイジーな誇張」「全然ちがう」...ヘンリーとメ…

  • 1

    イーロン・マスクからスターリンクを買収することに決めました(パックン)

  • 2

    <動画>ウクライナのために戦うアメリカ人志願兵部隊がロシア軍の塹壕に突入

  • 3

    中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗組員全員死亡説も

  • 4

    コンプライアンス専門家が読み解く、ジャニーズ事務…

  • 5

    「児童ポルノだ」「未成年なのに」 韓国の大人気女性…

  • 6

    サッカー女子W杯で大健闘のイングランドと、目に余る…

  • 7

    「これが現代の戦争だ」 数千ドルのドローンが、ロシ…

  • 8

    墜落したプリゴジンの航空機に搭乗...「客室乗務員」…

  • 9

    「この国の恥だ!」 インドで暴徒が女性を裸にし、街…

  • 10

    ロシア戦闘機との銃撃戦の末、黒海の戦略的な一部を…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中