最新記事
教育

危ない「命令口調」「小さな過干渉」の蓄積...魔の2歳児イヤイヤ期を「やる気」に転換する方法

2023年3月28日(火)18時35分
船津徹

子どもの「イヤイヤ」を減らすには「手出し・口出し」しないこと(写真はイメージ) szefei-iStock.

<2歳前後というのは、好奇心旺盛で何でも試してみたい、一方で親は子どもの行動をコントロールしたい、この相反する思いが衝突すると、子どもに「反抗」が表れます。親は「手出し・口出し」したい気持ちをグッとこらえて「見守る」ことが大切です>


「お洋服はよごさないでね」----「イヤッ」
「ご飯はきれいに食べてね」----「イヤッ」
「おもちゃを片付けてね」----「イヤッ」

子どもが2歳前後になり思考力や運動能力が育ってくると「自立」への道を歩み始めます。この時期の子どもは「自分で何でも試してみたい」という旺盛な「やる気」を持っています。ゴミ箱をひっくり返したり、本を破ったり、食べ物を投げたり、壁に落書きをしたり、コンセントに物を突っ込んだり、トイレの中におもちゃを落としたり、あらゆる問題行動を起こします。

同時に2歳前後というのは、子どもの世界が家の中から外に広がり、公共社会のルールやマナーを教える「しつけ」を伝え始めるタイミングでもあります。子どもは好奇心旺盛で何でも試してみたい、一方で親は子どもの行動をコントロールしたい、この相反する思いが衝突すると、子どもに「反抗」が表れます。

過干渉は自己肯定感を下げる一番の原因!

子どもは自分でやってみたくて「イヤッ」あるいは自分の行動に干渉されるのが「イヤッ」と言っているのですが、その気持を親に受け入れてもらえず「いけません!」「ダメ!」と否定され、あげくの果てに「◯◯ちゃんは悪い子ね!」と突き放されると「親から愛され受け入れられている自信」がグラついてしまうのです。

それまでは手がかからず、天使のように育ってきた子どもでも、実験期(自我の芽生え)になると、「イヤッ」を連発するようになります。でも親は驚いてはいけません。「わが子にもこの時が来たか」と成長を喜ぶと同時に、干渉をできるだけ減らして、子どもが成功体験を積むサポートをしてあげてください。

たとえば、子どもが自分でクツを履こうとしているのを、待てない親が履かせてしまうのは過干渉です。子どもの「意欲」を無視して親の都合で子どもの行動に先回りしているからです。同様に、子どもがあぶなっかしい手つきでコップから水を飲もうとしているとします。それをこぼすからと親が飲ませてしまうのも過干渉です。家や服を汚したくないという親の都合で、子どもが自分の意欲でやろうとしていることを横取りしているからです。

親は子どもにとって良かれと思っていることが多いのですが、このような「小さな過干渉」を繰り返していると、子どもから「やる気」を奪ってしまったり、反抗が長引くことにつながってしまうのです。

子どもの「イヤイヤ」を減らし「やる気」を伸ばすには、親は「手出し・口出し」したい気持ちをグッとこらえて、子どもの行動を「見守る」ことが大切です。家の外はルールや世間の目がうるさく、子どもへの干渉を減らすことが難しいと感じるならば、せめて家の中だけでも子どもの「試してみたい」「自分でやってみたい」という「やる気」を尊重してあげてください。もちろん子どもの生命の安全のための干渉は必要ですから、親はどこまでが必要な干渉で、どこからが過干渉になるのかを見極めて、適切に対応してください。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中