最新記事

犯罪

若者を闇バイトに引き寄せる「経済的困窮」

2023年2月8日(水)11時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

お金に困って闇バイトに手を染める者には10代の少年も含まれるが、その数が増えていることを推測させるデータがある。<表1>は、非行少年の数を2000年と2021年でくらべたものだ。

data230208-chart02.png

14~19歳の刑法犯検挙人員全体は、13万2336人から1万4818人へと大きく減っている(一番上)。この20年ほどで9割減少している。少年の非行が大きく減っていることについては、本サイトで前に書いた(拙稿「日本人が知らない、少年非行が激減しているという事実」)。

しかし知能犯(大半が詐偽)は、584人から923人と1.6倍に増えている。少年の場合、特殊詐偽への加担とみていい。動機が「生活困窮によるもの」に限ると、20人から83人と4倍以上になっていて、非行全体の中で明らかに異彩を放っている。経済的困窮により、詐欺の受け子といった闇バイトに手を出す少年が増えているのだろう。

コロナ禍や物価高で生活困窮が広がり、またSNSで闇バイトの情報を容易に知れることを考えれば頷けるデータだ。子育て世帯への経済的支援と同時に、インターネットの正しい利用(フィルタリング機能装備など)を促すことが求められる。

対策の基本は、プッシュ要因(当人の生活を不安定化させるもの)とプル要因(行為誘発環境)を取り除くことだ。

<資料:法務省『犯罪白書』
    総務省『労働力調査』
    警察庁『犯罪統計書』

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利下げでFRB信認揺らぐ恐れ、インフレリスク残存=

ワールド

イスラエル軍がガザで攻撃継続、3人死亡 停戦の脆弱

ビジネス

アマゾン株12%高、クラウド部門好調 AI競争で存

ビジネス

12月利下げは不要、今週の利下げも不要だった=米ダ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 9
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中