「業界内では、人気者ではない」過激な動物愛護運動に燃える、映画『ベイブ』のおじさんが問い続ける理由
Happy to Be Offensive
「本当にひどい。あらゆるシステムが破綻している。何もかも曖昧にごまかす有害な風潮が蔓延していて、みな何を信用していいか分からずにいる。同じ人間なのに、よその国やよその街で苦しんでいる人たちには共感することがない。彼らがどんな状況にあるか理解しようと、想像力を働かせることができないのだ」
クロムウェルは俳優として数え切れないほどの映画やドラマに出演してきた。この10年だけでも、ドラマ『メディア王~華麗なる一族』『アメリカン・ホラー・ストーリー:精神科病棟』のほか、映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』『ベイマックス』など大作に出演している。
さらにさかのぼると、CGを多用した子豚の物語『ベイブ』で農場主を演じてアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、『グリーンマイル』『ファーストコンタクト/STAR TREK』といった話題作にも出演している。
人気ドラマで良識を問う
クロムウェルが政治活動に力を入れるようになったのは、1970~80年代に放送された刑事ドラマ『バーニー・ミラー』に出演したときだ。「それなりの成功を収めると、メディアのインタビューを受けるようになる。自分にはその機会を利用して、意見を聞いてもらうチャンスのない人たちの声を届ける責任があると思い始めた」
とはいえ、ハリウッドでは厄介者と思われているに違いないと彼は認める。「業界内では、あまり人気者ではないと思う。レッドカーペットや記者会見で、四六時中同じ質問ばかりされると、うんざりした顔をしてしまうから」
だからインタビュー中に、話をそらすテクニックを身に付けたという。
「例えば、『あの俳優と一緒に仕事ができたのは素晴らしい経験だった』と言った後、『ところで、アフリカで何が起きているか知っているか』と続ける。『あの刑務所での暴動事件については?』『彼らがどんな扱いを受けているか知ってる?』とね。おかげで要注意人物と見なされるようになった」
この春から第4シーズンが始まる人気ドラマ『メディア王』でクロムウェルが演じるユーアン・ロイは、登場回数こそ少ないものの、彼のキャリアで最も重要な役の1つだという。
ユーアンは、一代でメディア帝国を築いたローガン・ロイの気難しい兄。富についてはローガンと正反対の考えを持つ。「当初案では、ユーアンはメディア帝国を手に入れられないからヘソを曲げているだけで、基本的にはローガンと同じタイプの人間として描かれている印象を受けた」と、クロムウェルは言う。