最新記事

動物

飼い主の声のみに反応するという研究結果──猫語を理解できる日も近い?

Your Cat Is Not Antisocial

2022年11月15日(火)13時00分
パンドラ・デワン
猫

猫が関心を持つのは飼い主が自分に呼び掛ける声だけ CHIE HIDAKA/ISTOCK

<猫はなじみのある飼い主の声だけを認識し、反応しているという研究結果が学術誌で発表された。あなたの言葉をニャンと理解していたのだ>

猫を飼っている人たちがずっと知りたかったこと――それは、猫が飼い主の声を認識し、言葉を理解しているのかということだ。

その問いにある程度答えてくれそうなのが、学術誌「動物認知」にこのほど発表された研究だ。この論文によれば、飼い主が自分に呼び掛けている声を聞くと猫の行動に変化が見られたが、飼い主が他の人に呼び掛けた声を聞いても反応しないことが分かったという。

飼い主ではなく全く知らない人に呼び掛けられた場合も、猫の行動に変化はなかった。つまり猫は飼い主の声を認識し、それに反応していると考えられる。しかも、たとえ飼い主の声であっても、自分に向けて話し掛けられた場合しか関心を持たないらしい。

「猫は人間の話すことを理解していると言っていいと思う。発言がもたらし得る結果だけでなく、なじみのある声であるかどうかや、そのことがどういう意味を持つかなども理解の材料にしている」と、ネコ科動物の行動の専門家アニータ・ケルシーは言う。

「言葉やその意味を、人間と同じようなやり方でしっかり理解しているというのではなく、言葉とそこから起きることの関係を通して理解しているのだと思う」

今回の研究では、16匹の猫を対象に、飼い主や見知らぬ人が自分に呼び掛けている声や、他の人に呼び掛けている声の録音を聞かせた。そして声を聞かせたときの猫の行動の変化(耳を動かす、瞳孔が開く、尻尾を動かすなど)を観察した。

1回目の実験ではまず、見知らぬ人が自分の名前を呼ぶ声を聞かせ、続いて飼い主が名前を呼ぶ声を聞かせた。

2回目の実験では、飼い主が自分に呼び掛ける声を聞かせ、次に飼い主が他の人に呼び掛ける声を聞かせた。どちらの場合も、猫が反応を示したのは飼い主が自分に呼び掛けたときだけだった。

猫語をAIで同時通訳?

この研究はサンプル数こそ16匹と少ないものの、猫が飼い主と強い絆を結ぶことができるという新たな証拠と言っていいだろう。猫は社会性に欠ける動物だと言われることも多いが、ケルシーによれば、この説には根拠がない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ハマス、拠点のカタール離れると思わず=トルコ大統領

ワールド

ベーカー・ヒューズ、第1四半期利益が予想上回る 海

ビジネス

海外勢の新興国証券投資、3月は327億ドルの買い越

ビジネス

企業向けサービス価格3月は2.3%上昇、年度は消費
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 8

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中