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米中対立

中国はかつて世界最高の「先進国」だった自国が、なぜ没落したか思い出すべき

THE LOSE-LOSE WAR

2022年8月5日(金)19時30分
キショール・マブバニ(国立シンガポール大学フェロー)、トニー・チャン(サウジアラビア・アブドラ国王科学技術大学学長)

ソ連との競争と協力によって生まれたもの

米中には環境問題を政争の具にしたり、連携を他の問題解決の条件にしたりしないことが求められる。両国の指導者は昨年、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の共同宣言で誓ったとおり連携強化に努めるべきであり、そうした協力に条件を付けてはいけない。

アメリカが外国との競争にさらされるのはこれが最初でも最後でもない。今回は1950年代に人工衛星の打ち上げでソ連に先を越された際の対応を踏襲するといい。

57年にソ連がスプートニクの打ち上げに成功するとアメリカは競争を認識し、自国の能力開発に投資して力を蓄えつつ、科学分野においてソ連とのパートナーシップを進めた。テクノロジーで世界を制する条件が整ったのは、そうした取り組みのたまものだ。

米中が必要な場面で協力し適切に競争することを世界は求めている。アントニー・ブリンケン国務長官は6月、バイデン政権の対中姿勢について「自信を持って競い、できる限り協力し、必要に迫られれば争う」と説明した。

政治があらゆる問題に優先し、そのせいで科学技術における両国の協力が妨害されるなら、人類にとっては不幸な話だ。

©Project Syndicate

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