オミクロンBA.5登場で中国は「ゼロコロナ」政策継続へ 経済への影響長期化

中国は新型コロナウイルスを巡り、厳格に感染を抑止する「ダイナミックゼロ」政策を小幅に修正しているものの脱却する兆しは見えず、ワクチン接種でも遅れを取っている。写真は北京で検査を受ける人。6日撮影(2022年 ロイター/Thomas Peter)
中国は新型コロナウイルスを巡り、厳格に感染を抑止する「ダイナミックゼロ」政策を小幅に修正しているものの脱却する兆しは見えず、ワクチン接種でも遅れを取っている。このことは中国経済に暗い影を落とし続けそうだ。
政府はダイナミックゼロ政策脱却に向けた工程表を示していない。こうした政策は来年も続くと予想されており、住民と企業を覆う不透明感は長引く見通しだ。
最近も感染が散発して一部都市ではロックダウン(都市封鎖)が実施された上、感染力の強い新型コロナ変異種「BA.5」が登場したため、懸念はさらに強まっている。
ロックダウンの影響に加え、くすぶり続ける不動産市場の問題と世界経済の不確実性が中国経済に重くのしかかる。
今週は、上海の住民2500万人に新型コロナの集団検査が義務付けられた。野村の推計では、11日現在、31都市が全面的もしくは部分的なロックダウンを実施中。これらは国内総生産(GDP)の4分1に寄与する地域であり、約2億5000万人が影響を受けている。
諸外国がコロナとの共生を図っているのとは対照的に、中国の習近平国家主席は厳格な対策によって救われた命を強調する。
現在はワクチンによって新型コロナの致死率が大幅に下がったにもかかわらず、中国は過去の感染抑止策の成功に捕らわれ続けている、との指摘もある。
みずほの首席アジアFXストラテジスト、ケン・チョン氏は13日、「世界の他の国々が活動を再開し、サプライチェーン(供給網)が正常化する中、中国のゼロコロナ政策は輸出受注と生産を諸外国にシフトさせるだろう」と記した。
欧州連合(EU)商工会議所のJoerg Wuttke会頭は「世界は中国が集団免疫を高めるのを待っていられない」と述べた。
自国製ワクチンに不信感
中国は感染拡大と死者数の増加を食い止めた裏返しとして、集団免疫の獲得が遅れている。
それでも積極的なワクチン接種策には乗り出していない。北京市は、人混みの多い場所に入る際にワクチン接種を義務化する計画を立てたが、インターネット上で強い反発に遭って先週撤回した。