オミクロンBA.5登場で中国は「ゼロコロナ」政策継続へ 経済への影響長期化
しかも中国は、より有効性の高い「メッセンジャーRNA(mRNA)」ワクチンの輸入を承認しておらず、自力での開発も十分に進んでいない
Wuttke氏は「制限措置が解除されるのは高齢者へのワクチン接種が完了した後だろう。2023年秋以降になるかもしれない」と言う。
中国は人口14億1000万人の90%近くにワクチンを接種し、56%近くは3回目の接種も終えた。それでも高齢者約3000万人がまだ接種していない。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の疫学教授、ジャン・ゾーフェン氏は、中国製ワクチンは安全性とオミクロン変異株に対する有効性についてのデータが不足しているため、政府も国民もこのワクチンへの信頼感が低いと指摘。「中国が自国製ワクチンを信頼していて、国民の接種率が高ければ、今ごろは感染根絶を目指す姿勢から重症化や死亡の抑制へと焦点を移していたはずだ」と語った。
制限を一部緩和
中国が、より精度の高いコロナ対策へと移行しつつあるのは事実で、上海で2カ月もロックダウンが続いた時のような悪夢が再来するとは予想されていない。
中央政府は地方政府に対し、不必要に任意の制限措置を実施しないよう指導している。エコノミストによると、対策の洗練度が上がったため、4、5月のようにロックダウンが世界のサプライチェーンを大混乱させる可能性も減った。
例えば最近は、入国者の隔離期間を7日間に短縮し、国内でも最近の旅行履歴の調査を軽減した。
今年の共産党大会で前代未聞のトップ3期目入りを確実にしたい習近平氏は、新型コロナの感染者・死者急増を防ぎつつ経済の急下降も避けるという、微妙な舵取りを迫られている。
習氏は先月、新型コロナが最初に発生した武漢で、ゼロコロナ政策は「正しく、有効」だったと述べ、一時的な経済への影響の方が、命が奪われるよりはましだと強調した。
上海政法学院の元准教授、チャン・ダオイン氏は「習氏は、コロナに対する最終的な勝利を成し遂げると明言した」と述べた。
(Tony Munroe記者)
