最新記事

ナイジェリア

ナイジェリアで売春婦が客に焼き殺される「コーランを持っていた」から

Sex Worker Allegedly Burned Alive by Customer for Having Quran

2022年6月16日(木)15時54分
ニック・モルダワナック

イスラム学校でコーランを学ぶ少女たち(ナイジェリアのマイドゥグリ、2014年) Joe Penney-REUTERS

<女性を数人で殴打し生きたまま火をつけて殺害した残酷な事件の動機は「売春婦のくせにコーランをもっていたから」。しかも容疑者は女性の客だった>

ナイジェリアで、セックスワーカーの女性が複数の男に殴打された上、生きたまま火を付けて殺されるという事件が起きた。客の男が彼女の所持品の中にイスラム教の聖典であるコーランを見つけ、激怒したことが原因だという。

事件は4月にナイジェリアの最大都市ラゴスで起きた。ニュースサイト「パルス」の報道によれば、被害者はラゴスでセックスワーカーとして働いていたハンナ・サリューで、客のひとりとその仲間に殺害されたとみられている。

報道によれば、問題の客はサリューに1000ナイラ(2.58米ドル)を支払って性欲を満たし、彼女の部屋を後にした。しかしその後、サリューは金庫から現金5000ナイラがなくなっているのに気づいて客を追いかけ、非難した。

客は金を盗んだことは否定したものの、一緒に金を探すことに同意して、友人2人を連れて彼女の部屋に戻った。サリューの枕の下にコーランを見つけたのはこの時だ。

ひどい言いがかりの末に

ある匿名の情報源が別のニュースサイト「パンチ」に語ったところによれば、3人の男たちはサリューに、なぜコーランを持っているのかと詰め寄り、「激怒して彼女に飛びかかり、殴打した上に火をつけた」という。「容疑者の男たちは、セックスワーカーの仕事をしている彼女がコーランを持っているべきではないと腹を立てたのだ」

ラゴス警察の広報担当者であるベンジャミン・フンデインは、パンチが報じた事件の概要を認め、3人の容疑者は起訴されて、現在は公判中だと述べた。

現地メディアのプレミアム・タイムズによれば、ラゴス州政府は5月、事件があったアラバラゴ地区の市場が「犯罪者たちの隠れ家」になっているとし、一部の住民に14日以内の立ち退きを命じた。

別の現地メディアによれば同じ5月には、金銭をめぐる「誤解」から、二輪タクシーの運転手たちが音響技師を殺害する事件もあった。やはり意識がなくなるまで殴られた後、火をつけられて死亡した。フンデインによれば、この事件では4人の容疑者が逮捕され、その後起訴されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

欧州の銀行、前例のないリスクに備えを ECB警告

ビジネス

ブラジル、仮想通貨の国際決済に課税検討=関係筋

ビジネス

投資家がリスク選好強める、現金は「売りシグナル」点

ビジネス

AIブーム、崩壊ならどの企業にも影響=米アルファベ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中