「いちゃついてもいいが、結婚は許さん」──「永世中立国」に悩むスイス
FLIRTS WITH NATO
「こうした政治的なアイデンティティーは国際機関に加盟すると揺らいでしまう」と、ジュネーブ安全保障政策センターのグローバル新興リスク部門の責任者ジャン・マルク・リックリは言う。
これまでスイスが考える安全保障は、自分たち小さな国の安全保障だった。しかし近年は、より広いヨーロッパの文脈で考えるようになった。
「安全保障は、自由、民主主義、法の支配、軍事的中立性など、私たちが大切にしている全ての基礎だということにようやく人々が気が付いた」と、ホーレンシュタインは言う。「ヨーロッパの真ん中で起きる残忍な侵略戦争は、あらゆる人を無差別に襲う。従って、スイスは将来のために武装しなければならない」
スイスが実際にNATOと軍事作戦で協力するかどうかは、国民投票にかけられることになるだろう。承認されても手続きに2年くらいかかるかもしれない。
しかし、このような議論が行われること自体が、スイスにとっては革命的である。永世中立国のスイスまでもが目を覚まし、西側陣営に近づくのなら、世界は本当に変わりつつあるということだ。
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