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極超音速ミサイル「ツィルコン」はウクライナの戦況を一変させうる

How Russia's Zircon Hypersonic Missiles Could Turn the Tide of Ukraine War

2022年5月31日(火)18時22分
ジャック・ダットン

またドラモンドは、ウクライナの複数の街を破壊するために、通常弾頭を搭載したツィルコンが配備されたのを見たともつけ加えた。

「極超音速ミサイルは核弾頭を搭載することも可能が、今のロシアの資金力では、核弾頭搭載可能なツィルコンの製造はコストが高すぎる。それに、もしもロシアが核弾頭を搭載したツィルコンを使ってウクライナの都市を爆撃すれば、大戦になる」

ドラモンドは、ロシアはウクライナの占領に向けた取り組みを徐々に強化していく姿勢を示すためにツィルコンを利用したのだと指摘する。

「アメリカは今のところ、ウクライナ軍がロシア軍を相手に消耗戦やこう着状態に持ち込んでいることに満足している。だがもしもロシアがツィルコンを配備して、それが戦況に決定的な影響をもたらすようになれば、アメリカが今以上の兵器を供与するだろう。トマホークやその他の長距離ミサイルを供与する可能性も出てくる」

ロシアによるツィルコン配備は、NATOが介入してくるような戦闘の大幅なエスカレーションを招くことなく、けん制を強めることが目的だというのだ。

多弾頭ミサイル「サルマート」も実験

ロシアは過去1年間で、複数回にわたってツィルコンの発射実験を行ってきた。2月24日にウクライナへの侵攻を開始した後には、核弾頭搭載可能の大陸間弾道ミサイル「RS-28サルマート」の発射実験を実施。複数の当局者によれば、同ミサイルは10個以上の弾頭を搭載することが可能で、アメリカを射程圏内に収めている。

プーチンは、サルマートの威力はロシアを脅かす人々に「再考を迫る」だろうとして、諸外国をけん制する。その威力は、ロシアの愛国主義政党「ロディナ(祖国)」のアレクセイ・ジュラブリョフ党首が4月にロシアのテレビ番組の中で、「サルマート・ミサイル1発でイギリス諸島は消滅する」と述べたほどだ。

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