最新記事

中国

完全に合理性を失った「中国ゼロコロナ」、外資・外国人の「大量脱出」が始まった

Beijing’s ‘Slow-Motion Lockdown’

2022年5月25日(水)18時19分
メリンダ・リウ(本誌北京支局長)

ただし、悪いニュースばかりではない。今のところ、北京で1日に確認される新規感染者数は数十人程度だ。

上海では一部の工場が操業を再開し、感染者数は減少傾向で、市当局は住宅群の隔離解除の加速を宣言した。それでも、何週間も厳しいロックダウンや透明性の欠如にさらされた市民の警戒心は消えない。「これだけ嘘をつかれた後で、あなたたちの言うことを信じろというのか」。ソーシャルメディアの微博(ウェイボー)には、そんなコメントが投稿された。

中国国家統計局は5月中旬、ゼロコロナ政策の経済的損害の切迫度が増していることを示す数字を発表した。4月の小売売上高は前年比11.1%減少し、失業率はパンデミック発生以来、最高水準の6.1%。文化観光省によると、4月30日からの5連休中の国内観光収入は前年同期比で43%減少した。

中国のGDP成長率は4~6月期に縮小し、今年後半から回復に向かうとみられる。今年の成長率目標は5.5%前後だが、達成は厳しそうだ。

時間がたたなければ、表面化しない打撃もあるだろう。在中米国商工会議所のマイケル・ハート代表は先日、移動制限の長期的影響を警告した。

複雑なビザ取得手続きや入国者の長期の隔離措置などが新規投資プロジェクトの障害になっていると、ハートは米メディアで指摘した。「新規投資の事前準備が進んでいないため、中国ではこれから2年、3年、4年後に投資が大幅に減ると予測する」

外国人が「大量脱出」する恐れが

在中米国商工会議所が先頃発表した調査によれば、中国で働く外国人が、新型コロナ対策やロックダウンが原因で「大量脱出」する恐れもある。

確かに、最近は送別会が増える一方という印象だ。中国を相次いで去る友人の荷造りの手伝いに、筆者は追われている。中国では来年、北京など10都市でサッカーアジアカップが開かれる予定だったが、新型コロナの感染拡大懸念を理由に、開催を返上するとの発表もあった。

外国人が中国にいづらくなったと感じても、問題とみられていないのでは? 昨年後半、外国人の大量脱出について取材を始めた時点で、大きな疑問だったのはその点だ。

当時、話を聞いた在中国EU商工会議所のイエルク・ブトケ会頭はこう警告した。欧米企業が中国との取引や中国事業を継続しても、在留外国人が続々と出ていけば、創造性や革新性は損なわれる──。

ブトケの見方は今や、さらに暗い。パンデミック以前に在留していた外国人の半数が既に中国を離れたとみられ、現状のままでは残りの半数もいなくなるだろう、と。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国の日本からの輸入、昨年12月は3年ぶり高水準 

ビジネス

米FRBの独立性喪失ならインフレ上昇=フィンランド

ワールド

中国、米・イスラエルのセキュリティー対策ソフトの使

ワールド

通常国会の早期に解散、高市首相が自民・維新に伝達 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広がる波紋、その「衝撃の価格」とは?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救った...実際の写真を公開、「親の直感を信じて」
  • 4
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 5
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 10
    「普通じゃない...」「凶器だ」飛行機の荷物棚から「…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 10
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中