最新記事

ウクライナ情勢

ロシア外相「核戦争のリスク、過小評価すべきではない」 西側のウクライナ軍事支援を牽制

2022年4月26日(火)11時52分
ロシアのラブロフ外相

ロシアのラブロフ外相は国営テレビのインタビューで、核戦争が起きる「かなりのリスク」があり、過小評価すべきではないとの見方を示し、ロシアはリスクを抑えたいと述べた。写真は、2022年4月8日にモスクワで講演するラブロフ外相。(2022年 ロイター/Alexander emlianichenko/Pool via REUTERS)

ロシアのラブロフ外相は国営テレビのインタビューで、核戦争が起きる「かなりのリスク」があり、過小評価すべきではないとの見方を示し、ロシアはリスクを抑えたいと述べた。また、西側諸国がウクライナに供与する武器はロシア軍の「正当な標的」になるとした。

「このようなリスクを人為的に高めることは望まない。高めたいと考える国は多い。深刻で現実の危険があり、それを過小評価してはならない」と語った。

第3次世界大戦を回避する重要性や、現在の情勢と米ソの緊張が高まった1962年の「キューバ危機」との比較に関する質問に回答した。外務省のウェブサイトに発言内容が掲載された。

ラブロフ氏のインタビューを受け、ウクライナのクレバ外相はツイッターで、ロシアはウクライナ支援をやめるよう外国を脅せるとの望みを失ったようだと指摘。「つまり、敗北感を覚えているということだ」とした。

米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官は24日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問した際、追加支援を約束。

ラブロフ氏は、西側諸国によるウクライナへの武器提供は北大西洋条約機構(NATO)が「実質的にロシアと戦争している」ことを意味するとの認識を示した。

米国務省は25日、ウクライナに対する1億6500万ドル相当の弾薬売却を承認した。また、米政府当局者らによると、米国主催で今週、ウクライナ関連の防衛問題に関する会合が開かれる見通しで、40カ国以上の参加が見込まれている。

首都に落ち着き、東部・南部の危機続く

ロシア軍が攻略を断念したキーウの情勢は正常化しつつあり、西側諸国の要人が相次ぎ来訪し、外交官が帰任している。

ブリンケン氏は、ウクライナから一時退避させた米外交官がまず西部リビウで業務を始め、数週間内にキーウに帰任する計画を明らかにした。米政府は、駐ウクライナ大使にベテラン外交官のブリジット・ブリンク駐スロバキア大使を指名した。

しかし、ロシア軍が戦力を集中させているウクライナの東部と南部では激しい戦闘が続いている。

ロシア国防省は25日、ウクライナ東部ドンバス地域で外国製兵器を輸送する鉄道の送電施設6カ所を高精度ミサイルで攻撃し、破壊したと発表した。

ウクライナ大統領府のアレストビッチ顧問によると、ロシア軍は包囲する南東部マリウポリで、ウクライナ軍兵士が立てこもり民間人も閉じ込められているアゾフスターリ製鉄所への攻撃を続けている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア戦車を破壊したウクライナ軍のトルコ製ドローンの映像が話題に
・「ロシア人よ、地獄へようこそ」ウクライナ市民のレジスタンスが始まった
・【まんがで分かる】プーチン最強伝説の嘘とホント
・【映像】ロシア軍戦車、民間人のクルマに砲撃 老夫婦が犠牲に


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、0.25%で利下げ開始可能 その後ペース加

ワールド

米ロ首脳、日本時間16日午前4時30分から会談 終

ビジネス

米企業、債務拡大へ信用契約の柔軟化要求 ムーディー

ワールド

プーチン氏、米はウクライナ和平で「誠実な努力」 核
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が教える「長女症候群」からの抜け出し方
  • 3
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化してしまった女性「衝撃の写真」にSNS爆笑「伝説級の事故」
  • 4
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 5
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 6
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 7
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 8
    マスクの7年越しの夢...テスラ初の「近未来ダイナー…
  • 9
    「ホラー映画かと...」父親のアレを顔に塗って寝てし…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 6
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 7
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 8
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 9
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 10
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 9
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中