最新記事

ダム

湖の水を吸い込むような巨大な穴の正体とは

2022年4月14日(木)16時00分
松岡由希子

ダム湖にできた巨大な穴...... Monticello Dam spillway, Lake Berryessa-wikimedia

<一定の水位を超えると、余剰水が螺旋状に渦を巻きながら大きな穴の中へと垂直に流れ落ちていくダム穴「「朝顔型洪水吐(こうずいばき)」......>

米カリフォルニア州北部ナパバレーにあるベリエッサ湖は、1957年にモンセティセロダムが建設された際に造られたダム湖だ。水位が440フィート(約134メートル)を超えると、余剰水が螺旋状に渦を巻きながら大きな穴の中へと垂直に流れ落ちていく。それはまるで異次元へと吸い込まれていきそうな不思議な光景だ。地元では「グローリー・ホール」として親しまれ、観光スポットにもなっている。

直径22メートル、まっすぐ61メートル下に落ちていく

このダム穴は正式には「朝顔型洪水吐(こうずいばき)」と呼ばれ、ダムや堤防から出る水の流れを制御するために用いられる。モンセティセロダムは、「グレートバレー・シーケンス」の巨大な砂岩にある割れ目「デヴィルズ・ゲート」に位置し、崖との間に狭い隙間しかないため、大きな水路をつくるスペースがない。そこで、バスタブや流し台の排水口のような仕掛けが採用された。

直径72フィート(約22メートル)の巨大な穴の中に流出する水はまっすぐ200フィート(約61メートル)下へ落ちていく。この放水路の下部は直径28フィート(8.5メートル)と小さくなっており、水はこの地点で90度に曲がって水平に流れ、モンセティセロダムの下のプタ川へと注ぎ込む。

この穴を使用するのは50年に1度くらいだろう、と想定していたが

このダム穴が建設された1950年代当時、技術者たちは「このダム穴を使用するのは50年に1度くらいだろう」と想定していた。しかし、最近では2017年と2019年に放水されている。2017年2月にドローンで撮影された映像では、大量の水が次々と巨大な穴に流れ落ちていくダイナミックな風景がとらえられた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米国とスイスが通商合意、関税率15%に引き下げ 詳

ワールド

米軍麻薬作戦、容疑者殺害に支持29%・反対51% 

ワールド

ロシアが無人機とミサイルでキーウ攻撃、8人死亡 エ

ビジネス

英財務相、26日に所得税率引き上げ示さず 財政見通
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗り越えられる
  • 4
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 7
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中