「1回の攻撃で奪う」 ロシアの「失敗」に学び、中国の侵攻作戦はどう変わった?
CHINA IS WATCHING
「だが世界第2位の経済を誇り、100カ国以上にとって最大の貿易相手である中国にも、各国が同様の厳しい制裁を科すかどうかは分からない」と言う。「中国が台湾に対する武力行使を決断するとしたら、統一実現のためには高い代償も覚悟で臨むはずで、非常に恐ろしい事態になると思う」
今回の戦争勃発はヨーロッパを「震撼」させたと、ドイツ外交政策協会のタトロブは言う。台湾有事が現実味を増しているとみられているが、制裁は今回とは違って包括的ではなく的を絞ったものになるのではないかという。「ロシアへの制裁が、中国にとって台湾侵攻を選んだ場合の予行演習になる可能性は高い」
中国は既に欧米による制裁が主要部門に及ぼす経済的影響をデータ分析ではじき出し、同様の嵐を乗り切る方法の有無(とタイミング)を見極めようとしているだろう。
タトロブによれば、ドイツなどヨーロッパ各国は、プーチンの独裁を勢い付かせてきたことをようやく自覚しつつある。ウクライナ侵攻直前の2月4日、中国がロシアとの「限界のない」戦略的パートナーシップを主張したことも、同様の認識を促すかもしれない。
中国がロシアのウクライナ侵攻を強く非難したがらないのは、新冷戦の様相でもあり、中国が欧米とりわけアメリカに対して挑発的であることの表れだ。中ロの「世界秩序を変える」長期計画の本当の意味にヨーロッパはようやく気付き始めたと、タトロブは言う。
台湾は他国から軍事支援を受けられるか
中国の場合、台湾有事をめぐる最大の不確定要素は台湾が軍事支援を受ける可能性だ。中国はアメリカの介入は最小限という前提で軍事計画を策定していると、ほとんどの専門家はみている。中国が増強している核・長距離攻撃能力のターゲットは台湾ではない。日本、グアム、ハワイ、さらにアメリカ大陸の米軍基地を標的にして、アメリカを抑止するのが狙いだ。

ロシアによるウクライナ侵攻の可能性に緊張が高まっていた昨年12月、ジョー・バイデン米大統領は米軍のウクライナ派遣は検討していないと明言し、これでプーチンとの核戦争のリスクは大幅に低下すると思われた。アメリカは台湾防衛に関しても、ロシアを上回る軍事力を誇り、その近代化が急速に進む中国という敵を相手に、難しい選択を迫られる。
それでもアメリカは意図的に曖昧な態度を続けている。3月9日の米下院軍事委員会公聴会でイーライ・ラトナー国防次官補(インド太平洋安全保障担当)は、台湾についての対応は違ってくるとの見方を示した。「台湾有事の際はアメリカとの結び付きが特に強い同盟国の協力が得られると確信している」





