最新記事

台湾

習近平、幻の「秋に台湾侵攻」計画...ウクライナ戦争で白紙に(ロシア内部文書)

China Planned Taiwan Invasion in Fall, Alleged Russian Intel Leak Claims

2022年3月18日(金)17時27分
ジョン・フェン
習近平

政権の3期目を目指す習近平(写真は2017年) Damir Sagolj-REUTERS

<ロシアの諜報機関「連邦保安局」のアナリストによる内部告発だとされる情報だが、台湾の情報機関の分析とは内容が大幅に異なり真偽は定かではない>

「中国の習近平国家主席がこの秋、台湾を併合する計画を立てていた」とする文書がインターネット上で公開され、注目を集めている。ロシアの諜報機関が書いたものだとされているが、台湾の外交官はこの文書について、本物かどうかは確認できていないと語った。

台湾の呉釗燮(ジョセフ・ウー)外交部長は3月16日に記者団に対して、「中国が台湾を攻撃するのかどうか、いつ攻撃するのかといった情報に関係なく、我々としては常に防衛の備えをしておかなければならない」と語った。

呉外交部長は立法院で開かれた外交・国防委員会での答弁の中で、ロシアの諜報機関である連邦保安局(FSB)のアナリスト(実名は明かさず「変革の風」と名乗っている)が書いたとされる問題の文書について、報道があることは認識していると発言。文書が本物かどうか、個人的に確認することはできなかったが、台湾の諜報機関が詳しく調べているところだと述べた。

問題の文書は、ロシア人の人権派弁護士であるウラジーミル・オセチキンが公開した、複数の文書のうちの1つだ。オセチキンは現在フランスで暮らしており、ロシアの腐敗を告発するサイト「グラグ・ネット」を運営している。2021年には、ロシアの刑務所で起きた虐待行為を撮影したとする1000本以上の動画を、同サイト上で公開した。

オセチキンは、ロシアがウクライナ侵攻を開始してからこれまでに、合わせて7通の文書を入手したとしている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の計画については、FSBでも事前に知っていた者はごくわずかだったようで、そこにはFSB内部の「恐怖と混乱」が詳細につづられている。

ロシアのウクライナ侵攻で中国が窮地に

調査報道サイト「ベリングキャット」のクリスト・グロゼフ事務局長は3月に入ってから、問題の文書についてFSBの複数の情報源に確認したことを明かしている。それによれば、彼らは文書を書いた内部告発者について、本物のFSB職員だという見方を示したということだ。

内部告発者は、オセチキンに送った3月9日付の4通目の文書の中で、ロシア政府が中国政府を難しい立場に追いやっているとの分析を示した。プーチンのウクライナ侵攻を受けて西側諸国が結束した結果、ロシアが国際社会の「のけ者」になっており、中国がロシアに支援を提供することも難しくなっているためだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、マムダニ次期NY市長と21日会談 ホワ

ワールド

マクロスコープ:日中関係悪化、広がるレアアース懸念

ワールド

アジアのハイテク株急伸、エヌビディア決算でAIバブ

ビジネス

午前のドルは157円半ば、10カ月ぶり高値 円安け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、完成した「信じられない」大失敗ヘアにSNS爆笑
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 8
    衛星画像が捉えた中国の「侵攻部隊」
  • 9
    ホワイトカラー志望への偏りが人手不足をより深刻化…
  • 10
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 7
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中