最新記事

プーチン

プーチン逮捕・起訴に向けて、国際社会の反撃──戦犯の証拠保全が活発化

2022年3月4日(金)17時11分
青葉やまと

ウクライナ首都キエフで爆撃された高層住宅 2月26日 wikimedia

<プーチン大統領を国際法で裁こうと、非人道的攻撃の証拠収集が進んでいる>

防戦いっぽうのウクライナだが、国際社会の助けを得て、正規の手段でプーチンを追い込むことができるかもしれない。戦争犯罪人として責任を追及するため、活発な証拠収集が始まった。

ロシアは2月28日以降、ウクライナの民間人を故意に狙ったとみられる攻撃を増加させている。北東部オフティルカの住宅街では、幼稚園の付近にクラスター弾(国際条約で禁止されている)が着弾した。ほかにも民間施設を標的にした攻撃が加速している。

幼稚園に着弾した




BM-30多連装ロケットランチャーのロケットモーターの残骸は、民間地域でクラスター爆弾を使用していることが疑われる


ハリコフ地方政府の建物へのミサイル攻撃


国際法に反するこのような蛮行を映像や記録に残し、分析して証拠を固める動きが出始めた。最終的にはプーチン大統領を国際刑事裁判所に呼び出し、実質的な終身刑を言い渡すことができる可能性がある。

市民による記録映像を分析

ウクライナ側の犠牲者はこれまでに2000人を超えた。首都キエフでは数千人もの市民が地下鉄駅で身を寄せ合い、眠れぬ夜を過ごしている。

イギリスのベン・ウォレス国防長官は、プーチン氏が中世の包囲戦を思わせる手法をとっており、「複数の都市を無差別にじゅうたん爆撃する」計画により、ウクライナを「猛撃する」目算だと警告した。意図して市民を狙う攻撃は戦争犯罪とみなされる。

こうした行為の証拠を残そうと、民間の活動が活発化している。英ガーディアン紙は、ウクライナの市民などがスマートフォンで動画を撮影し、紛争を記録に残していると報じる。

映像の多くはSNSで共有されており、これらの動画は専門の分析組織によって解析・保存される。英調査報道サイトの『べリング・キャット』もそのひとつだ。過去にはウクライナ上空で撃墜されたマレーシア航空17便事件で有力な証拠を挙げた実績がある。

同サイトでは攻撃1日目からすでに証拠の収集と分析に着手しており、民間人へのクラスター爆弾の使用を含め、市民を標的にした攻撃の証左を蓄積している。2月28日に北東部ハリコフの駐車場が爆破された事件では、べリング・キャットは分析の結果、クラスター弾だと断定した。

今、あなたにオススメ

ニュース速報

ビジネス

英金融システム、資産価格急変動なら脆弱性露呈の恐れ

ビジネス

UBS、クレディ・スイスの船舶関連資産を圧縮の公算

ビジネス

米財務長官、全預金への保険適用や上限引き上げに否定

ビジネス

米銀、SVBなど破綻の波及懸念で流動性を強化=米財

今、あなたにオススメ

MAGAZINE

特集:グローバル企業に学ぶSDGs

2023年3月21日/2023年3月28日号(3/14発売)

ダイキン、P&G、AKQA、ドコノミー......。「持続可能な開発目標」の達成を経営に生かす

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1

    女性支援団体Colaboの会計に不正はなし

  • 2

    大事な部分を「羽根」で隠しただけ...米若手女優、ほぼ丸見えドレスに「悪趣味」の声

  • 3

    老人自ら死を選択する映画『PLAN 75』で考えたこと

  • 4

    「そんなに透けてていいの?」「裸同然?」、シース…

  • 5

    プーチンの居場所は、愛人と暮らす森の中の「金ピカ…

  • 6

    ニシキヘビ、子ポッサムの前で母を絞め殺し捕食 豪

  • 7

    「この世のものとは...」 シースルードレスだらけの…

  • 8

    プーチン「専用列車」の写真を撮影・投稿してしまっ…

  • 9

    「気の毒」「私も経験ある」 ガガ様、せっかく助けた…

  • 10

    「ベッドでやれ!」 賑わうビーチで我慢できなくなっ…

  • 1

    大事な部分を「羽根」で隠しただけ...米若手女優、ほぼ丸見えドレスに「悪趣味」の声

  • 2

    【悲惨動画3選】素人ロシア兵の死にざま──とうとう長い棒1本で前線へ<他>

  • 3

    「この世のものとは...」 シースルードレスだらけの会場で、ひときわ輝いた米歌手シアラ

  • 4

    女性支援団体Colaboの会計に不正はなし

  • 5

    プーチンの居場所は、愛人と暮らす森の中の「金ピカ…

  • 6

    事故多発地帯に幽霊? ドラレコがとらえた白い影...…

  • 7

    復帰した「世界一のモデル」 ノーブラ、Tバック、シ…

  • 8

    「ベッドでやれ!」 賑わうビーチで我慢できなくなっ…

  • 9

    「セクシー過ぎる?」お騒がせ女優エミリー・ラタコ…

  • 10

    少女は熊に9年間拉致され、人間性を失った...... 「人…

  • 1

    大事な部分を「羽根」で隠しただけ...米若手女優、ほぼ丸見えドレスに「悪趣味」の声

  • 2

    推定「Zカップ」の人工乳房を着けて授業をした高校教師、大揉めの末に休職

  • 3

    バフムト前線の兵士の寿命はたった「4時間」──アメリカ人義勇兵が証言

  • 4

    訪日韓国人急増、「いくら安くても日本に行かない」…

  • 5

    「ベッドでやれ!」 賑わうビーチで我慢できなくなっ…

  • 6

    【写真6枚】屋根裏に「謎の住居」を発見...その中に…

  • 7

    これだけは絶対にやってはいけない 稲盛和夫が断言…

  • 8

    1247万回再生でも利益はたった328円 YouTuberが稼げ…

  • 9

    ざわつくスタバの駐車場、車の周りに人だかり 出て…

  • 10

    年金は何歳から受給するのが正解? 早死にしたら損だ…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story